2001年12月05日
エチレンの減産、12月は一段と拡大へ
内需の不振継続と輸出の縮小に対処
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:昭和電工、丸善石油化学

 国内のエチレンセンターの減産に一段と拍車がかかってきた。11月下旬から減産強化に乗り出しているところがいくつか見られるほか、新たに稼働率調整に踏み切るセンターも現れている。このため12月の11センター平均の稼働率が、前月の95.6%や昨年12月の96.1%を下回るのは確実と見られている。
 
 エチレンセンターの多くは今年夏場以降、例年の需要期入りにもかかわらずこれまでにない規模の減産に入っている。それまでの月間平均稼働率は最も高い月(2月)で102.0%、最も低い月(6月)でも97.5%となっていたが、それ以降は7月96.5%、8月94.5%、9月94.4%、10月95.6%--と明確に縮小傾向をたどっている。そして11月下旬以降は減産規模が一段と拡大しつつある。丸善石油化学が12月に入って、稼動率を従来の90%から85~90%へとさらに引き下げる措置を取っているのをはじめ、操業率を11月比で5ポイント前後縮小するところがいくつか現れている。また、昭和電工のように新たに減産に踏み切ったところもある。同社は昨年9月に大分の年産23万1,000トン能力の第1号機の操業を停止していらい2号機のフル操業を続けてきたが、内外需の長期低迷が避けられない見通しとなってきたため減産を決意したもの。

 他のセンターの減産理由も同様で、一般景気の後退に伴う誘導品全体の内需の縮小とオレフィンならびに量産型誘導品に対する中国などアジア諸国からの引き合いと注文の減少が主因となっている。特に影響が大きいのは、アジアのスポット相場の大幅下落が全ての製品に広がってきたことといえる。秋口以降は、引き合いがあっても、大幅な逆ザヤ輸出となるため商談を見送らざるを得ないケースが増えており、今後も事態の改善は望み薄と見られている。このため、少なくとも来年の中国の旧正月明けまでは、生産を思い切って抑制していくほかないというところが増えている。