2003年08月08日
中西・三井化学社長が会見「大阪工場の検査不備」謝罪
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学の中西宏幸社長、木下陽三副社長の両氏は8日、大阪工場で保安検査不備が見つかった問題で記者会見し、これまでの経緯や今後の対策を説明するとともに「高圧ガス保安法に抵触する行為であり、多くの信頼を裏切る結果となった」と謝罪した。
 
 説明によると、同社は工場の保安状況を総点検するため、6月と7月の2回にわたって市原、大阪、岩国大竹、大牟田の4工場の一斉監査を行った。1回目には問題は見つからなかったが、2回目再度細かい記録を取り寄せチェックしたところ、大阪工場にのみ一部の検査結果とデータに合わない部分が見つかった。
 
 一部の機器について、開放検査を行っていないにもかかわらず「実施済み」として関係当局への届け出が行われていた。こうした違反は、エチレン、TBA、BTX、アンモニア、尿素、半導体用(シラン)ガス、タンクヤードの7施設、計344ヵ所に見つかった。
 
 「実施済み」としたケースは、例えば同じタイプ、性能の機器類が2台ある場合、普段は1台しか使わず、あとの1台はスタンバイさせておくことが多い。その場合、日常使用している方の機器だけしか検査せず、予備の1台は安全と現場で判断し、検査を「省略」した、などだという。
 
 「機器の種類によっては、それでもいい場合もあり、県の指導や規則、ルールなども地方によって多少異なる。しかし、社内では認めていないし、徹底を欠いたのは事実だ」と中西社長。「大きな事故につながったのでは」という質問には「それは全くない。重要な部分はすべてきちんと検査している」とはっきり答えた。
 
 同工場ではエチレンなど3施設は現在定修中。アンモニア、尿素、半導体用ガス設備は運転中だが、同社は全設備を停止し、さらに徹底した検査を実施する。保安検査に不備があったことは7日、大阪府、経産省などの関係当局に報告した。

 運転再開の見通しは、当局の指導待ちのためまだ明らかではない。その間製品の供給は、在庫の取り崩しや他社からの融通などでしのぐ。しかし工場の休止が長引けば「供給面に影響が出る可能性はある」という。

 同社は今後、再発防止のため、さらさに徹底した原因究明と、保安・点検機能の一元化など、検査管理組織の強化に努める。来年8月に完成予定の「プロピレンセンター」計画への影響は全くないという。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/030808mutsui.tif