2003年08月21日
三菱、三井両グループ、農業資材統合で記者会見
事業基盤強化へ初のアライアンス
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学、三菱化学

 三菱化学MKVと三井化学プラテックの両社は21日、両社の農業資材事業を統合することで合意したと発表した。
 
 04年4月に両社で共同出資会社を設立し、両社がこれまで個別に展開してきた農ビ(農業用塩化ビニルフィルム)と農PO(農業用特殊ポリオレフィンフィルム)の事業を新会社に統合する。農ビと農POで業界ナンバーワンのシェアを持つ三菱化学MKVと第3位の三井化学プラテックが統合するわけで、樹脂製農業資材分野では初の大型アライアンスが実現することになる。狙い通りの統合効果を上げることができれば、従来にない強力な事業基盤を持つ樹脂製農業資材企業が誕生する。

 新会社の社名や資本金さらには代表者名などは未定。今年末に決定の予定。出資比率は三菱化学MKVが75%、三井化学プラテックが25%となる。本社は東京・港区の三菱化学MKV本社内に置く。従業員数は約90人。

 事業内容は、農ビ、農PO、硬質フィルム、潅水材料、ベタ掛資材など農業資材の製造・販売。ただし、製品の製造は新会社が両親会社に委託していくかたちをとる。初年度の売上げ目標は約130億円。ちなみに、生産能力は、農ビが年産3万7,500t(現三菱化学MKVの筑波工場が同2万8,500t、現三井化学プラテックの名古屋工場が同9,000t)、農POが同4,000t(現三菱化学MKV筑波が4,000t、他に三井化学プラテックが名古屋に同4,000t設備を保有しているが、ブロック運転にとどめている)となる。

 今回両社が農業資材事業の統合を決意したのは、農家の高齢化や担い手不足さらには輸入野菜の増加と消費の低迷などによって両フィルム事業を取り巻く環境がこれまでになく厳しくなってきたためという。最近は農産物価格の低下によって両フィルムの需要は減少の一途をたどっており、このため両社のみならず両フィルムメーカーの全てが早急に思い切った打開策を打ち出す必要に迫られているところ。

 こうした中で両社が、お互いをパートナーに選んだのは「お互いが長年の歴史を通じて両フィルムの技術面と販売面の両面で強力な基盤を保有しているのに加え、三菱側が被覆材分野で、また三井側が関連農業資材面でそれぞれ他社にない強みを持っている点が評価し合えたから」(大濱禎三・三菱化MKV社長、坂本甫・三井化学プラテック社長)という。今後は、農ビのコストダウンと、高成長が見込める農POの事業の本格展開と新商品のラインアップに特に精力的に取り組み、統合効果を上げていきたいと説明している。