2001年12月03日
三菱化学、“夢のナノテク材料”「フラーレン」事業化で共同出資会社設立
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学、三菱商事

 三菱商事系のナノテクノロジー投資フアンド「ナノテクパートナーズ1号投資事業有限責任組合(NTP)と三菱化学は、“21世紀の夢の素材”といわれる「フラーレン」を本格事業化するため3日、共同出資会社「フロンティアカーボン株式会社」(FCC社)を設立したと発表した。

「フラーレン」は、炭素原子がサッカーボール状に配列した構造を持つ物質で、光線力学療法を利用した抗がん剤、抗エイズ剤などの医薬品、とくに皮膚の老化防止効果を持つ化粧品類、長寿命リチウムイオン電池、燃料電池用水素ガス貯蔵、超伝導材料、高機能塗料、超微細粒子人工ダイアモンドのどの工業用研磨剤など多くの分野で用途開発が進んでいるが、工業化に当たっては高コストがネックとなっていた。

 FCC社は、米国フラーレン・インターナショナル・コーポレーションが保有するフラーレン物質特許や三菱商事グループが持つ知的財産、販売力、三菱化学グループのカーボンブラック生産技術をベースに従来法では困難とされてきたフラーレンの大量生産と低価格化に見通しを得た。

 2002年2月に三菱化学黒崎事業所内に年産400キログラムのパイロットプラントを設置し、生産販売を開始する。その後本格プラントを建設し、生産規模を段階的にスケールアップする。2007年頃には、年産1,500トン程度の規模まで拡大する計画だ。

 これにより現在世界で年間約100キロと推定されるフラーレンの生産量は一挙に約1万倍の規模にまで拡大、製造コストは現行の10分の1から100分の1程度になると予想している。

 新会社の概要は次の通り。
 
社名:フロンティア力ーボン株式会社
社長:友納茂樹氏(前三菱化学科学技術戦略室部長)
本社所在地:東京都中央区京橋1ー8ー7 京橋日殖ビル5階
資本金:10億円(三菱化学50% NTP50%)
(2002年3月迄に23億円まで増資)
発足:平成13年12月3日
事業内容:フラーレン等のナノカーボン製品の製造及び販売
売上高見込:約230億円(2007年度)
従業員数:約20名〔2002年度)