2003年08月26日
旭化成、ANの輸出価格の引き上げをアナウンス
9月のシップメント価格を850ドル以上に是正へ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:BASF、旭化成、昭和電工、住友化学

 旭化成はこのほど、中国をはじめとしたアジア地域のANの需要家各社に対して、ANの9月の輸出価格をトン当たりCFR850ドル以上のレベルに引き上げたい意向を表明した。コントラクトものもスポットものも、ともに各シップメント価格を同850ドル以上に引き上げたいとしている。
 
 アジア地域におけるANの価格は、5月初旬以降しばらく続いた低迷から脱して8月の平均が同800〜820ドルまで回復してきている。ボトムに対比すると50〜70ドル上がったことになる。
 旭化成はそれをさらに30〜50ドル引き上げたいとして各ユーザーに説明し、説得を開始したもの。値上げの理由としては、主原料のプロピレンの価格がナフサ高を反映して高騰しはじめてきたことを挙げている。同社の現在の収支バランスは原料価格の上昇を受け入れられる状態にほど遠いので、早急に転嫁せざるを得ないと説明している。
 そうした同社に取ってさいわいなのは、ANの国際需給バランスが再びタイトになる公算が濃厚となってきている点だ。これは、需要が繊維向けもABS樹脂向けも明らかに回復傾向をたどっている一方、供給能力が秋の定修の集中によって大幅に縮小する見通しにあるかたで、このため市場には急速に先高観が広まりつつある。
秋に定修を予定しているのは、韓国・東西石油化学、BPケミカルズの米国ならびにドイツの工場、BASFの英国の工場、昭和電工、住友化学工業など。合計年産123万tにおよぶ。