2003年08月27日
温暖化対策税制の中環審の報告案まとまる
環境省、国民各層との直接対話等で意見を把握へ
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:環境省

 中央環境審議会の地球温暖化対策税制専門委員会は27日、第14回会合を開いて「温暖化対策税制の具体的な制度」について意見を交わし、その結果「国民による検討・議論のための提案」とのサブタイトルの報告案をまとめた。

 同専門委員会では、若干修文したあと9月中にも中央環境審議会の総合政策部会および地球環境部会に報告書として提出し審議を求める。環境省は、そのあとで国民各階層との直接対話「温暖化対策税に関する懇談会」を全国各地で開催するなどで広く国民の意向を把握することにしている。また、11月末を期限にパブリック・コメントを募集することも計画している。

 今回まとめられた報告案は、6章で構成されている。
(1)地球温暖化対策の現状についての認識、これに照らした温暖化対策税の特徴ーなぜ温暖化対策税を検討するのか。
(2)税の性格、課税要件ー何について温暖化対策税を課税し、誰が納付するのか。
(3)税負担軽減についての考え方ーたとえば、対策を積極的に行った人や企業などもなお税金を払わなければならないのか。
(4)税収の使途についての考え方ー温暖化対策税の税収は何に使うのか。
(5)既存エネルギー関係諸税との関係についての考え方ー化石燃料に対する税としては既に石油石炭税や揮発油税があり、これらの税によるCO2抑制効果や、これらの税の税収を温暖化対策に活用する事も考えられるのに、なぜ温暖化対策税の検討を行っているのか。
(6)温暖化対策上の効果および経済等への正負の影響ー必需品である石油などのエネルギーに係わる税負担を増やして経済はどうなるのか。
の合計6項目からなる具体案を明示し、これをたたき台に国民に検討・議論を求めていくことにしている。

 注目の税率ついては、モデル試算の一つの結果として、炭素1トン当たり3,400円(ガソリン1リットル当たり約2円の値上がりに相当)を課税することによる価格インセンティブ効果とあいまって、約9,500億円の補助金を温暖化対策の助成に投じると、京都議定書の6%削減約束を達成できる削減が可能との結論が導き出されたとしている。この場合は、炭素1トン当たり4万5,000円の課税のもとで価格インセンティブ効果のみによって発揮される排出削減効果と同じ効果が得られると説明している。

 また、温暖化対策税得られた財源で支援できる省エネ・新エネ対策としては、太陽光発電の設置に対する助成、屋上緑化に対する固定資産税の軽減、低公害・低燃費車に対する自動車税の軽減、省エネルギー住宅と太陽光発電設備に対する住宅金融公庫の割り増し融資などが考えられるとも誌的している。