2003年09月02日
三井化学、PTAの対中輸出価格を是正へ
9月納入分をトン670ドルに引き上げ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、中国向けのPTAの9月の輸出価格をトン当たり40ドル引き上げることにして同国の需要家ならびにトレーダー筋に説明するとともに折衝を開始した。
 これは、原料パラキシレン(PX)の値上げが不可避となったことに対処してのもの。CFRトン当たり670ドルに改めたい考え。中国側の抵抗はかなり強いが、同社も採算確保のためには譲歩できないとしている。今週中に同意を取り付けたい考え。
 
 PTAの需要は、最大の消費先である中国のポリエステル繊維メーカー各社がSARS問題の終息を受けて活発な生産活動を再開しているのに伴い急速に回復してきている。中国の今年1月から7月までのPTAの総輸入数量は269万tで、昨年同期を8〜9%上回るペースとなっている。うち7月の輸入数量は49万6,000tと特に多い。2月は32万t、3月は37万t、4月は25万t、5月は34万tと低迷を続けてきたが、ここにきて一気にこれまでの減少分を取り戻す異例といえるほどの拡大を遂げている。同国内の重合設備は現在では全てフル稼働の状態にあると伝えられる。ポリエステル繊維の対米輸出が急増してきていることが大きく作用してのもののようだ。
 
 これに対してPTAの供給能力は世界全体でほとんどの増えていない。このため需給バランスは一転して逼迫、現地の揚子石油化学も、また日本、韓国、台湾のPTAメーカーも供給力不足に頭を痛めている。関係者の多くは、この状態はPTAの次期の新・増設が完工する05年初頭まで続くとの見方を取っている。
 こうした情勢を背景に、揚子石化でもPTAの国内価格を8月、9月と連続して引き上げており、また、韓国や台湾のPTAメーカーも早急に値上げを打ち出すものと見られている。