2003年09月02日
中国のSM輸入急増中、今年早くも148万トン
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

中国でSM(スチレンモノマー)の輸入が急増している。同国の通関統計によると、7月の輸入量は20万7,700トン。1−7月累計は147万9,400トンで、前年同期比53.16%増という増加ぶりだ。過去最高だった2002年の輸入量179万8,500トンに、早くも並ぶ勢いだ。
 
 業界でも「このままだと、今年の中国の輸入量は270−280万トンに達するだろう。日本の国内需要(約200万トン)を大きく上回ることは確実」と、市場スケールの大きさに、あらためて驚いているようだ。
 
 一体、中国内のSM需要はどの位あるのか。業界では今年の国内需要は約340万トンと推定している。これに対して供給能力はどうかというと、古い設備も含めて90万トン程度と見られている。差し引き250万トンの不足分は、結局海外からの輸入に頼ることになる。
 
 とはいえ、輸出に余力のある国はそう多くはない。2002年の実績でみると、輸出量の多かった国は(1)韓国=72万8,700トン(2)日本=66万9,500トン(3)インドネシア=11万8,800トン(4)サウジアラビア=11万3,900トンの順。
 
 今年の1−7月累計でみても(1)日本=50万6.500トン(2)韓国=42万7,500トン(3)米国=17万4,000トン(4)インドネシア=9万8,200トンで、日本と韓国の両国が上位1、2位を占め、数量も断トツとなっている。
 
 SMはポリスチレンを中心に、ABS樹脂や不飽和ポリエステル、合成ゴムなどの原料として幅広い用途をもっているが、中国の場合、需要構造は日本などと異なり、ABS樹脂とEPS(発泡ポリスチレン)の比重が大きいのが特徴。ともにポリスチレンの約4割を占めているという。
 
 経済の高度成長とともに急拡大する中国市場。しかし国内には十分な供給力がなく、原材料の多くは輸入に依存しなければならない。一方では「国際競争力の弱い」国内の産業も保護していかなければならず、これが、このところのアンチダンピング調査多発につながっていると指摘する声は多い。日本のSM各社にとっても、中国からの引き合いの増大は、今後頭の痛い問題となってきそうだ。