2003年09月17日
松下電産が青色LEDの光出力を1.5倍に
結晶形状を改良し、さらに出力増をはかる
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:松下電器産業

 松下電器産業は窒化カリウム系青色LED(発光ダイオード)の光出力を従来比1.5倍に向上し、照明用白色LEDの実用化に大きく貢献する技術を開発したことを明らかにした。
 
 光の進行方向を制御する結晶構造を形成することによりLED内部に発生した光を高率的に取り出すことを可能にしたとしている。
 
 LEDの電流注入層にフォトニック結晶と呼ばれる光の波長と同じ間隔(1,000分の1ミリメートル)で物質が規則正しく並ぶ結晶を形成し、回折効果で光の反射を制御している。
 
 従来はLED発光層で発生する光のうち、20%ほどしか取り出せなかった。新技術では同結晶の形成で光取り出し効率が30%余に向上し、さらに結晶形状を改良すれば3倍以上の高出力が得られる見通しであるとしている。
 
 白熱電球やけい光灯に比べ、固体白色照明(白色LED)は長寿命、環境性能、省エネルギーなどにすぐれ、照明用として期待されている。これを実現するには青色LEDの高出力化が必要で、松下の新技術は固体白色照明の実用化を大きく進めるとみられている。白色LEDについては青色LEDと黄色LEDを使う。
 
 P型窒化カリウム層をフォトニック結晶構造にすると抵抗がさらに上がるのを同層上にニッケル(厚さ2ナノメートル)、金(3ナノメートル)、インジウム酸化錫(60ナノメートル)からなる透明電極を形成、同層全面への均一な電流注入を行い、抵抗を押えた。素子全体でムラのない発光が可能になった。