2003年09月19日
ポリオレフィンの自動車部品向け出荷に明暗
HDPEは2けた成長、PPは17ヶ月振りに前年割れ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィンの自動車部品向け品種の出荷にこれまでにない変化が現れてきた。ガソリンタンク向けが需要の大半を占めると想定されるHDPEの大型中空成形品種の出荷量は8月も前年同月を24.8%上回って好調を維持したが、バンパーなど自動車部品向けがほとんどを占めていると見られるPPの工業部品向け射出成形品種の8月の出荷量は2.1%減となって17ヶ月振りに前年同月を下回った。PPの工業部品向け材料はもともと需要の絶対量が大きく、その増減はPP各社の業績に重大な影響を及ぼすものだけに今後の動向を警戒する向きが増えている。
 
 HDPEの大型中空成形用品種の8月の出荷数量は3,300tで、前年同月を24.8%上回った。2ヶ月連続の2けた増で、この結果同品種の月間出荷量は01年6月以降27ヶ月連続の前年超えとなった。自動車メーカーの多くが、ガソリンタンクを従来の金属製からHDPE製に切り替える動きを強めていることが大きく作用してのもの。
 一方のPPの工業部品向け品種の8月の出荷量は5万900tで前年同月を2.1%下回った。同品種の月間出荷量は、昨年4月以降今年7月まで一貫して前年を上回ってきた。しかも昨年9月から今年1月までの5ヶ月はコンスタントに2けた増を続けてきた。ところがその後は伸び率が縮小、6月は2.6%、7月は1.5%にとどまり、そして8月はついにマイナス成長に転じたわけ。
 こうした結果、1〜8月の累計は、HDPEの大型中空成形品種が2万1,100tで前年同期の25.2%増、PPの工業部品品種が45万7,700tで同4.8%増となった。うち、PP全体の国内向け出荷量の1〜8月の累計は163万3,000tで前年同期比は1.0%増にすぎないので、工業部品の占めるウエートはまだまだ高いといえる。