2003年09月22日
三菱化学、フェノールと関連製品の価格修正へ
10月1日出荷分からPHはキロ10円、BP-Aは15円引き上げ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は、フェノールとその関連製品の国内向け価格を10月1日出荷分からそれぞれ引き上げる。上げ幅は、フェノールとアセトンがいずれもキログラム当たり10円、ビスフェノールAが同15円、MIBKが同13円。おおむね10%の値上げとなる。このうちのBP-Aについては輸出価格も同じタイミングで引き上げる。目指す上げ幅はトン当たり150ドル。CFR同1,150ドルに底上げする。

 今回の値上げは、最近再び顕著となってきた原料ならびにユティリティコストの上昇に対処するためのもの。同社によると、出発原料のナフサの今年第4.四半期の価格はキロリットル当たり2万6,000円となる見通し。第3・四半期を1,000円、前年同期を4,000円強上回ることになるとの判断である。また、ベンゼンの価格も、指標となる米国の10月のコントラクト価格はガロン当たり150セントにアップすると見られている。今年7月に比べると21%もの上昇となる見通しだ。

 同社では、これまでもこれら原料の高騰に対応して数回にわたって製品価格の修正に取り組んできた。今年3月も値上げを打ち出してユーザー各社の説得に努めた(ただし、ユティリティコストアップ分は自社負担)が、需要家各社の強い抵抗にあって目標を十分クリアできないままきている。しかもその後の原料価格は、当初の予想に反して高止まりの状態にある。

 このため現在は、「原料の再高騰に対してただちに適切な手を打っていかなければ大幅な採算割れに陥る状況にあり」(川崎芳夫・同社フェノール・ラクタムメラミン事業部長)、したがって「ここはどうしてもユーザー各社の理解を得て価格修正を果たす以外に方法がない」(同)と説明している。今回は、ユティリティのコストアップ分についても製品価格に転嫁していく考え。

 これらフェノールと関連製品の需要は、ポリカーボネートの需要の回復もあってきわめて旺盛。IT関連産業の急回復が大きな支えとなっている。したがって、今後もなお順調な伸びを続けるというのが関係筋に共通した見方となっている。一方の供給能力は、シンガポールや韓国の定修が10月に集中するためアジア地域全体に第4・四半期は縮小が必至の見通しにある。つまり需給のバランスは明らかにタイトな状態が続く見込みとなっており、三菱化学などフェノールメーカーにとっては有利な条件が整いつつあるといえる。