2002年05月21日
三井化学が中期経営計画のローリングを公表
積極的な海外展開や機能性材料の強化等で拡大・成長路線を堅持
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学の中西宏幸社長は21日に記者会見し、中期経営計画「01中計」の進捗状況と、02年度ローリングの概要を明らかにした。
 
 このうちの01中計の進捗状況については、「景気の後退や原料高に伴う石化・基礎化学部門の交易条件の悪化、さらにはIT不況に伴う機能性材料部門の販売数量の減少などによって01年度の業績は01中計の目標を下回ったものの、新製品の売上げは前年度を85%上回る高成長を遂げ、また、今後の成長が見込まれる製品を対象に内外で生産体制の拡充にも踏み切って02年度以降の収益拡大の基盤を順調に整備できてきた」と説明、“世界の市場で存在感のある総合化学企業となる”とのかねての理念を着実に実現できつつある点を強調した。
 一方、02年度のローリングについては「アロマ系製品の拡大・成長を目指す積極的な海外展開、プロピレン誘導品を中心にした国内石化の構造改革、高度な触媒技術を生かしての機能性材料の強化、より適正な経営資源の投入--などによって、引き続き成長・拡大路線を堅持していく」と語り、“化学産業におけるグローバルリーダー”の実現に対する意欲のほどを示した。

 同社長の発言内容は概要次の通り。
 ○01年度の連結業績は、売上げ高の面でも経常利益の面でも残念ながら01中計の目標を下回った。これは、石化・基礎化学品部門の収益が景気の後退や原料高による交易条件の悪化で縮小したことと、機能性材料部門の業績がIT不況などに伴う販売数量の減少で目標を下回ったことによるもの。
 ○しかし、かねてから力を入れてきた新製品の育成は順調に進んだ。01年度の新製品の売上高は424億円で、前年度を85%上回った。
 ○また、石化製品や基礎化学製品分野において今後の成長が見込める製品については国の内外で生産体制と構造改善に着手した。ポイントの1つはアジア地域におけるフェノールヤビスフェノール-A、さらにはアロマ系製品の需要の拡大を取り込むための生産能力の増強であり、もう1つは三井住友ポリオレフィンの設立やPPプラントのS&Bなどによるポリオレフィン事業の構造改革だ。
 ○このうちのアジア地域における生産体制の増強は、すでに売上げと収益の拡大に寄与してきている。海外売上高比率は25%となり前年度より4.7ポイント増えている。世界全体を睨んでのグローバル化がダイナミックに進展しつつあるといってよい。
○一方の機能性材料事業では、ウレタン、エラストマーなどのコア事業の拡大、新製品の開発の加速、情報電子・衛生材料の3極展開の強化--などが着実に進できている。
○片や、02年度ローリングに関しては経営環境の急激な変化に対応して経営目標と投融資計画を見直す。しかし、拡大・成長路線は堅持していく。
○03年度の経営目標は、連結売上高を1兆1,000億円、経常利益を650億円、ROAを5%、連結キャッシュフローを1,700億円--などに設定していく。
○海外展開を一段と強化していく計画で、売上高としては3,390億円を目標とする。うち海外の生産拠点における売上げを1,652億円とする。営業利益は192億円を目指す。
○国内の石化事業についてはプロピレンセンターへの重点移行を実現して世界の競争を勝ち抜いていく。
○機能性材料では、ディスパージョン、半導体材料、電子回路材料、精密薬品、ヘルスケアなどの育成に力をいれていく。