2003年10月07日
昭和電工、アセチル製品の輸出価格も是正へ
酢酸、酢エチ、酢ビとも10月から新価格に
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は10月船積み分からアセチル3製品の輸出価格をそれぞれ再是正する方針を固め、アジア各国の需要家ならびに取り扱い問屋筋に説明するとともに折衝を開始した。同社は先に、酢酸エチルと酢酸ビニルの国内向け価格を10月出荷分から1キログラム当たり10円底上げする旨を表明し、各ユーザーとの交渉に乗り出しているが、アセチル事業の採算確保には酢酸を含めた3製品全ての輸出価格の再修正も不可欠と判断してただちに行動に移したもの。
 
 酢酸については、第3・四半期分をトン当たり50ドル、第4・四半期分を同30ドル引き上げることにしている。CFRベースのリストプライスを同730ドルに改める。第2・四半期に同30ドル値上げしたが、原料価格の高騰による採算悪化分をカバーできなかったため再是正することにしたもの。最大手の英・BPケミカルが第3・四半期と第4・四半期をワンセットにして合計同70ドル引き上げる方針を打ち出している点も視野に入れての計画である。需要がPTA向けを中心に好調なのに加えて、マレーシアのBPケミカルの大型設備の操業の不調もあって需給がタイトバランスなので、新価格がアジア市場で受け入れられる可能性は十分あると同社では判断している。

 酢酸エチルと酢酸ビニルについては、いずれも同50ドルの値上げを実施する。ともに10月の船積み分からシップメントベースで新価格に切り換えることにしている。酢酸エチルの目標価格は同800〜820ドル。需要が食品包装剤向けを中心に東南アジア地域全域で活発化している優位性を活かして早期決着を図りたいとしている。
 酢酸ビニルの目標価格は同860〜870ドル。現在のアジア地域の需給は、日本とフランスで有力酢ビメーカーによる操業休止が続いたこともあって酢酸や酢エチ同様にタイトバランスとなっている。したがって同製品についても機を逸することなく全てのユーザーの同意を取り付けたい考え。