2003年10月10日
EC委員会、REACHの原案を改訂へ
日本など域内外各国の厳しい反応を重視
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:経済産業省

 EC委員会は、先に世界各国の行政当局や関係業界筋に提示した化学物質の新規規制案(レジストレーション・エバリュエーション・アンド・オーソライゼーション・オブケミカルス)の内容を修正する方針を固めた。
 EC委員会では詳細をまだ公表するにいたっていないが、化学品安全評価書(CSR)の対象や登録の義務・提出、さらには成型品中の物質の登録などについて原案をかなり修正することになりそう。日、米、独などECの域内外の多くの国から原案に対して厳しい反応が相次いだ点を重視して、緩和に踏み切ることにしたものとも見られる。
 
 もっとも、経済産業省内部には、現在判明している程度の改訂ではまだ十分でないと不満を漏らす向きが多い。EC委員会からの公式な発表を待って、詳細に内容を分析した上で今後の対応を決めていくことになるようだ。
 
 現在までに判明しているEC委員会の改訂案の最大のポイントは概要以下の通り。

 (1)CSRについて。
 (A)1トン未満の製造・輸入者に対してもCSRを要求することとしていたが、10トン以上の製造・輸入者が登録する際に添付するように改める。
 (B)サプライチェーンにおいて川上から川下へ提供される化学物質に関する情報は全てCSRによって実現されるように持っていくとしていたが、当該化学物質が危険物に分類される場合にのみSDSによって必要な情報を提供することとする。
 (2)登録の義務、提出情報の簡素化について。
  (A)年間の製造・輸入量が1トンから10トンまでの物質についいては、技術の発展を考慮し、要求される情報量を簡素化するようにする。
 (B)ポリマーは全て登録の対象外とする。
 (3)成型品中の物質の登録について。
 「年間1トン以上の製造・輸入量があり、通常、合理的に予見できる条件による使用および廃棄中、これらの物質が十分な量で人の健康または環境に悪影響を及ぼすような方法で排出されるかも知れない場合には登録する」とされていたが、「年間1トン以上の製造・輸入があり、<危険な物質の分類・放送・表示に関する理事会指令>の危険物質のクライテリアに合致する物質であり、通常および合理的に予見できる使用中に意図的に放出される場合に登録する」ように改める。