2003年10月14日
欧州のオレフィン生産量、着実な伸び
PEとPPの域内需要の好調が支えに
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 わが国の大手商社が9月末にモンテカルロで開催された「EPCA’03」において欧州の多くの石化企業から得た情報を総合すると、欧州における今年のエチレンの消費量と生産量の対前年比伸張率はともに4%台となる見通しにあり、またプロピレンの伸び率はそれをさらに上回る公算が濃厚となってきた。エチレンの伸びはポリエチレンの、またプロピレンの伸張はポリプロピレンのそれぞれ域内需要の好調によるという。
 
 欧州におけるエチレンの今年の総消費量は前年比4.4%増の2,110万tに、また総生産量は同4.2%増の2,102tとなる見込み。PEの域内需要が活発であったことが大きいという。夏場の生産は猛暑による渇水の影響で大幅に前年を下回ったが、それ以外の季節は各社とも高率操業を実現、現在も同様の状況にある模様。エチレンプラントの新増設がなかったことも現在の需給の均衡の大きな要因となっている。もっとも、第4・四半期のエチレン価格は、サプライヤー側とユーザー側の主張がかみ合わずいまだに決定していない。ちなみに第3・四半期の価格はトン当たり445ユーロであった。04年も目立つ新増設の計画はない。
 
 一方、プロピレンの今年の総消費量は前年比4.8%増の1,507万t、総生産量は同5.3%増の1,479万tとなる見通しにある。全消費量の過半を占めるPPの需要の伸びが大きな支えとなっているようだ。生産増のうちの23万tがプロパンデハイドロからのプロピレンと想定されている。スペインのプロパンケムが新設した年産35万tプラントが今年下期に本稼動入りしたことが少なからず寄与している模様。現在の需給はウエルバランスと見られる。ただし、第4・四半期の価格はエチレン同様にまだ決まっていない。第3・四半期の価格は同430ユーロであった。プロピレンも04年は新増設がなく、このため輸入が増えそう。