2003年10月20日
フェノール、アセトンともアジア市況が30ドルアップ
三井化学は月内にさらに20ドルの引き上げ目指す
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 アジア地域におけるフェノールと副生アセトンのスポット価格が10月に入っていずれもトン当たり30ドル前後上がってきた。三井化学などアジア地域の大手メーカーが同地域のユーザー各社に申し入れていた値上げ受け入れ要求が通り始めたもの。

 現在の同地域のCFR価格は、フェノールがトン当たり730〜750ドル、アセトンが同550〜570ドルとなっている。最近はフェノールもアセトンもアジア地域全体で需要が活発化、このため需給バランスが一段と引き締まってきている。特に中国では、アンチダンピング措置によってフェノールが完全な品不足状態となり、急遽欧州から余剰玉を輸入して急場を凌いでいる状況にある。
 一方のフェノール・アセトンメーカーは、原料価格の高止まりと最近の円高の進行によって輸出の採算維持が困難となってきており、このため、10月の船積み分からの価格修正を実施すべく各国の需要家ならびにトレーダー筋と折衝を重ねていた。その結果、需給のタイト化がフェノール・アセトンメーカーサイドにさいわいして徐々に全体の市況が上向いてきたもの。
 
 もっとも、リーディングカンパニーの三井化学では、今回目標としている値上げ幅はフェノールもアセトンも同50ドルなので、現在の市況では満足できないとしている。各ユーザーを説得して、月内には残り同20ドルの値上げについても同意を取り付けたい考え。
 同社では、同社のシンガポール工場(ミツイフェノールシンガポール)が16日に年産25万t能力のフェノールプラントの定修に入ったのに続いて韓国の錦湖石油化学も11月早々には同12万t設備の定修入りを予定していることや、欧州からの中国へのフェノールの流入が今週末で一段落する公算が濃厚となっていることなどから判断して、アジア地域全体のフェノール・アセトンの需給バランスは当分タイトな状況が続くと予想している。