2003年10月29日 |
環境ホルモン戦略計画の改訂作業がスタート |
28日にWGが初会合、17年第1・四半期に結論 |
【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:住友化学、環境省 |
環境省の「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」の改訂作業がスタートした。同省環境保健部長の諮問機関「内分泌攪乱化学物質問題検討会」の下部組織として新設した「SPEED'98改訂ワーキンググループ」が28日初会合を開き、平成17年第1・四半期末をめどに最終案をとりまとめる方向で検討作業を開始した。 「SPEED'98」は98年5月、環境省が内分泌攪乱化学物質に関する同省の基本的な考え方と、今後進めていく具体的な対応方針を取りまとめて成文化した。いらい同省では、これをベースに環境実態調査や有害性評価、スクリーニング試験法の開発、国際シンポジウムの開催など様々な施策を実施してきた。 ただ、最初に“内分泌攪乱作用を有する物質”として合計67種類の化学物質のリストを作成して公表した点については、「リスト化の根拠や物質の選定基準が不明確であり、いたずらに世間の不安感を煽って化学物質に対する過剰な拒否反応を引き出している」との批判から、同省ではこの点も視野に入れて平成12年11月に「SPEED'98」を改訂した。 このとき、スチレンダイマー・トリマーについては、内分泌攪乱化学物質問題検討会が「包括的に現時点でリスクを算定することは技術的にみて現実的でなく、その必要性はないと考えられる」と判断、またn-ブチルベンゼンについても「現時点では現実的なリスクが想定しがたいと判断されるべきものであり、数万以上ともいわれる多くの化学物質の中で取り立てて内分泌攪乱作用現時点で評価する必要はないと考えられる」と結論、リストから外された。 今回の改訂は、そうした曲折を経て蓄積されてきた豊富な科学的知見等を踏まえ「SPEED'98」に新たな知見や、今後とるべき施策を追加・修正することを目的に実施される。新設されたワーキンググル−プは、同問題の専門家と消費者団体、化学業界の代表ら合わせて10人で構成されている。 同WGの検討課題は、(1)これまでの環境省の取り組みのまとめと評価(2)現状と今後の取り組みの目標・課題(3)取り組みの進め方(4)その他の必要な事項、となっている。 【今後の検討スケジュール】 ▽第2回WG 16年2月頃 ・「SPEED98」に基づく取り組みの成果のまとめ方について ・改訂版の骨子について(現状認識) ▽第3回WG 16年4月頃 ・改訂版の骨子について(課題と今後の方向性) ▽第4回WG 16年6月頃 ・「SPEED98'」に基づく取り組みの成果の取りまとめ ・改訂版の骨子の取りまとめ ▽第5回WG〜数回 16年7月以降 ・改訂版案の作成 ▽WG最終回 17年第1・四半期 ・最終取りまとめ 【WG構成メンバー】 ◇青山博昭・(財)残留農薬研究所毒性第一部生殖毒性研究室室長 ◇有田芳子・全国消費者団体連絡会事務局 ◇井口泰泉・岡崎国立共同研究機構統合バイオサイエンスセンター教授 ◇井上 達・国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長 ◇鈴木継美・東京大学名誉教授 ◇長濱嘉孝・岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所生殖研究部門教授 ◇花岡知之・国立がんセンター研究所支所臨床疫学研究部疫学研究室長 ◇森田昌敏・(独)国立環境研究所統括研究官 ◇中園 哲・北九州市環境科学研究所所長 ◇山口孝明・住友化学工業レスポンシブルケア室 |