2003年11月04日 |
汎用樹脂の中国向け輸出の不振つづく |
1〜9月の累計で前年超えはPPだけ |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:なし |
汎用樹脂の中国向け輸出の不振がつづいている。9月の輸出通関数量(香港向けを含む)は、PVCのホモポリマーが3ヶ月振りに前年同月を上回ったものの他の4樹脂は軒並み前年を割り込んでいる。また、PVCを除く4樹脂は、全輸出量に占める中国向けの比率が低下してもいる。 これに伴い1月から9月までの累計も、合計5樹脂のうちPPを除く4樹脂が依然として前年同期を下回ったままとなっている。しかも、全体に縮小率が大きい点が注目される。 これには、韓国や台湾など従来からの強力なコンペティターに加えてシンガポール、マレーシア、タイ、サウジアラビアといった石油化学新興国が急速にシェアの拡大を図ってきていることが大きく影響していると見られる。 9月の通関実績で前年同月に比較しての落ち込みが最も大きいのはPSの49.1%減である。同樹脂は今年に入って全ての月が前年割れとなっている。日系資本によるPSの大型新プラントの稼動開始が少なからず影響してのものと見られている。他の樹脂の縮小幅も過去数年と異なりかなり大きい。LDPEは17.2%減、PPホモポリマーは10.6%減、PPトータルは8.0%減、HDPEは4.2%減--となっている。これに伴う1〜9月の累計も、PSの38.5%減をはじめ、多くの樹脂が前年同期を大きく下回っている。 中国の輸入量は今年も引き続き前年を大きく上回る見通しにある。そうした中で、日本品はこのままいくとシェアの大幅低下が必至となる。 汎用樹脂の9月の対中輸出通関数量と1〜9月累計(右)は以下の通り。単位はトン。かっこ内は前年比。 [LDPE] 中国 5,023( 86.2%) 51,173( 71.7%) 香港 3,591( 78.5%) 45,683( 84.0%) 合計 8,614( 82.8%) 96,856( 77.0%) 輸出計 16,775( 96.7%) 168,482( 85.6%) [HDPE] 中国 10,397( 86.9%) 93,271( 93.5%) 香港 2,007(204.2%) 11,687(105.2%) 合計 12,404( 95.8%) 104,958( 94.7%) 輸出計 22,402(106.3%) 174,176( 93.1%) [PP-H] 中国 8,694( 97.9%) 87,455(104.7%) 香港 2,282( 67.2%) 35,063(116.3%) 合計 10,976( 89.4%) 122,518(107.8%) 輸出計 24,166(108.2%) 221,275(116.2%) [PP-C] 中国 1,947(132.5%) 17,401( 97.0%) 香港 1,677( 79.0%) 12,080( 93.8%) 合計 3,624(100.9%) 29,490( 95.7%) 輸出計 9,013(106.1%) 96,830(100.5%) [PP計] 中国 10,641(102.8%) 104,856(103.3%) 香港 3,959( 71.7%) 47,152(107.6%) 合計 14,600( 92.0%) 152,008(105.2%) 輸出計 33,179(107.6%) 298,105(111.7%) [PS] 中国 2,191( 53.5%) 26,284( 69.1%) 香港 4,362( 49.7%) 55,199( 58.4%) 合計 6,553( 50.9%) 81,483( 61.5%) 輸出計 98,26( 58.0%) 106,289( 61.4%) [PVC-H] 中国 39,367(110.3%) 350,451( 88.1%) 香港 10,925(105.0%) 89,270(100.9%) 合計 50,292(109.1%) 439,721( 90.4%) 輸出計 62,068(100.8%) 551,585( 91.1%) |