2003年11月13日
三菱化学の機能化学セグメント順調な伸び
今期の営業利益、全社の40%を占める見通し
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は13日、冨澤龍一社長の記者会見のあと、機能化学セグメントの業績を佐藤隆一常務が説明した。それによると、同セグメントは情報電子材料部門を中心に当初予想を上回る高い業績をあげており、2003年度売上高は三菱化学の連結売上高の23%、営業利益は40%を占める見通し。事業の選択と集中によって、技術力を市場ニーズに効率よく適合させてきたことが好結果につながったとしている。
 
 【佐藤常務の説明要旨】
(1)機能化学セグメントが現在取り組んでいる基本テーマは「事業構造の改革と成長」。事業構造の改革とは、事業の選択と集中の徹底、成長とは、新製品の開発による成長をいう。具体的には「機能性の材料・部材を事業の骨格として"市場からの発想"を重視し、顧客へのソリューションの提供を事業の基本精神とする」「情報電子、医療・食品(アメニティライフ)、エコ(環境、エネルギー)の3つの市場領域に重点を置く」「これらの市場領域に対しては基盤技術をベースに新製品の開発を促進していく」が、現在の基本方針となる。
 
(2)この基本方針に沿って、電池機材、ナノカーボン、固体照明材料、PDPフィルターなどを「育成事業」、また医薬中間体、食品機能材、パフォーマンスケミカルズ、ポリマーイメージング、光記録メディア、表示材料などを「集中事業」と位置づけ、重点的な投資や他の有力企業との提携など強化を図ってきた。一方、ハードディスク、農薬のように他社に譲渡した事業もいくつかある。
 
(3)この結果、一時的に売上高が減ることはあったが、営業利益は拡大した。今期の連結売上高は4,530億円、営業利益は370億円となる見通しだ。売上高は三菱化学連結売上高の23%、営業利益は40%ていどを占める。営業利益のほぼ2分の1は情報電子材料で確保する見込みだ。
 
(4)新製品の開発と事業化は「戦略事業推進室」が強力に後押しすることにしている。PDPフィルター、自動車用2次電池材料、新規コーティングポリマー、固体照明材料、環境適合性プラスチック、ナノカーボンなどが現在の対象だ。最近の高コントラストPDP光学フィルターの開発・上市もその成果の一つだが、今後もこうした独自の新製品を開発していきたい。近く発表できるものもいくつかある。
 
(5)R&TD費用は190億円となる見通しだ。全グループの費用の21〜22%。売上高の4%強というところだ。設備投資は2年で400億円ていどを考えている。DVDのマザープラントなど情報電子材料関連や、医薬中間体などアメニティライフ関連の投資が多くを占めることになる。現在のところ当初予想を上回る業績を上げているが、これに満足せず、既存の重点事業の拡大や新規事業によって一層高い目標を設定し、挑戦していきたい。