2003年11月15日
日本ゼオン、高機能材料が好調、拡大へ
3月中間期で営業利益がほぼ倍増
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:帝人、日本ゼオン

 日本ゼオンは14日、9月期中間決算を発表するとともに平成16年3月期の見通しを明らかにしたが、これによると連結は売上高で2,150億円(前期比41億1,100万円増)、営業利益で174億円(同44億5,500万円増)、経常利益で157億円(同59億900万円増)、純利益46億円(同15億5,000万円増)とみている。
 
 部門別にはエラストマー素材事業が1,251億円(同13億800万円増)、高機能材料事業が327億円(同71億6,500万円増)、その他事業が576億円(同42億3,700万円減)。高機能材料事業が好調で売り上げ構成比が前年同期の12.1%から15.2%にアップする。
 
 エラストマー素材事業は合成ゴム、合成ラテックス、化成品(C5石油樹脂、熱可そ性エラストマーなど)、高機能材料事業は化学品(合成香料、有機合成薬品など)、情報材料(電子材料、トナー関連製品など)、高機能樹脂(シクロオレフィンポリマー:COPの樹脂と成形品)、その他事業は(土木資材、反応射出成形:RIM、塩ビ、MBS樹脂など)で構成している。
 
 高機能材料が好調なのはシクロペンタジェンからつくるシクロオレフィンポリマーの需要が増えているためで低吸湿性や寸法安定性、光学特性がすぐれており、カメラや、OA機器のレンズ、DVDのピックアップレンズなどに用途が拡大している。
 
 また、耐薬性がよく注射器やLCD(液晶ディスプレイ)の光学フィルムにも使われ、輸出も増えている。レンズ用の商品名は「ゼオネックス」、光学フィルム用は「ゼオノア」。
 
 このため同社は岡山県水島工場に来年4月完成目標に年産5,000トン(1万トン含み)を増設している。現有設備は年産5,000トンでフル操業を続けている。
 
 このほか世界の大手半導体メーカー向けの需要増でエッチング用ガス(ゼオローラZFL-58)も大幅に伸び、3月中間期の高機能材料事業全体の売上高が150億7,300万円(前年同期比22.3%増)、営業利益が33億2,000万円(同92,9%増)と増大した。情報材料のトナーもカラー化の傾向のなかでプラス5億円の10%増となった。
 
 なお、その他事業のなかで、昨年、帝人と共同で設立したRIMTECが黒字になったことからRIM事業とDCPD-RIM事業の積極拡大に取り組む計画である。