2003年11月17日
化学物質の内分泌攪乱の事例、今回も認められず
環境省、平成14年度の実態調査結果を公表
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:環境省

 環境省は14日に開催した「平成15年度第2回内分泌攪乱化学物質問題検討会」において、同省が平成14年度に実施した「内分泌攪乱化学物質の環境実態調査」と「臍帯等における化学物質の蓄積・暴露状況調査」の結果を報告したが、いずれの場合も問題視すべき事例は今回も見当たらなかったとの結論になっている。
 前者の中では、殺虫剤の1種のマイレックスが初めて検出されたと報告されている点が注目されるが、これについても同省では「検出値が極めて微量であり生物に対する影響はない」と説明している。ただし、マイレックスは国内での製造や輸入の実績がないのでどうして今回検出されたのかが不明であり、現在はその点について調査中だとしている。
 
 環境省が平成14年度に実施した調査のうちの「内分泌攪乱化学物質の環境実態調査」では、水質や底質や大気から合計23種化学物質の検出が認められたと報告されている。しかし、検出値はいずれも過去4回同様に問題視すべき高い値ではないとの結論になっている。初めて検出されたマイレックスの場合も、カワウにおける平均値は体重1g当たり0.77ng、トビでは0.68ng、ハシブトカラスでは1.1ng、スナメリで5.7ng、タヌキで0.034ng--といずれも低い値にすぎないと同省では説明している。ちなみに、マイレックスの急性毒性はラットの経口で235mg/kg、ハムスターの経口で125mg/kg、アヒルの経口で2,400mg/kg、鳥類の吸入で1,400ppmとされている。
 
 一方の「臍帯等における化学物質の蓄積・暴露状況」については、(1)ダイオキシン類の臍帯濃度(2)PCB類および有機塩素系化合物の臍帯、臍帯血および母体血濃度(3)エストロジェン類および植物エストロジェン類の臍帯血及び母体血濃度--3項目を測定した。
 その結果、ダイオキシン類の平均値は13pg-TEQ/g-fat(4.7〜40)で昨年度の20pg-TEQ/g-fatを下回っていることが明らかになったと報告されている。また、PCB類及び有機塩素系化合物とエストロジェン類及び植物エストロジェン類に関しては、いずれも昨年度と同程度の低い値であったとされている。