2003年11月25日
医療機関、電子カルテ採用に取り組む
質の高い効率的な医療をめざす
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:厚生労働省

 医療機関の基幹情報である診療に関する情報のIT(情報技術)化が、電子カルテシステムの導入によって実用化の段階を迎えている。
 
 医療機関に電子カルテシステムの導入とは従来の医療機関のIT化が、医事会計やオーダリングシステムを中心とする事務処理システムや部門システムを対象としていたのに対し、医療そのものをIT化しようとするもので、すでに厚生労働省も平成13年3月に質の高い効率的な医療をめざし「保険医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」を発表している。
 
 このグランドデザインでは電子カルテシステムやレセプト(診療報酬請求書)電算システムの導入に向けて数値目標を設定し、補助金などを交付する施策を行うことにしている。
 
 さる22日から千葉の幕張メッセで開催(3日間)された第23回医療情報学連合大会、第4回日本医療情報学会学術大会の会長を務めた豊田建氏は「オーダーエントリーシステムと呼ばれる病院情報システムは、ようやく15%ほどの病院が採用したところ。電子カルテの診療録が定型化されていなかったり、教育も進んでいない。関連業務が標準化されていない。仕様がないので標準化が進まない。医療専門職の病院経営に関する視点がない。薬代をとるだけのシステムでは診療業務が近代化できない。紙とペンに頼っているやり方を早急に変えていく必要がある。ただシンポジウム、大学のシステム展示、診療機器などで会場は盛況をみせた」と当面の課題を指摘した。
 
 さらに医療の対象が医療主体と環境など相互にかかわっているので、モデリングやブラックボックスの理論が重要で、自然科学とは異なる「情報学」という認識が求められると述べた。
 
 同氏によれば問題が山積しているという表現ではあるが、「産学官が協力した両大会は盛況で、とくにコンピューター関連の医療機器のほか、医薬、試薬施設の出展も目立った」としている。