2003年12月01日
三井化学、PTAの12月の対中価格を据え置きへ
トン当たり650ドルとすることで通告
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど、中国のPTAの需要家各社に対して12月のPTAの輸出価格をCFRトン当たり650ドルとする旨を通告した。11月納入分と同じレベルに据え置くというもの。
 中国側のユ−ザーの中には引き下げを強く求める向きもあるが、三井化学は原料・パラキシレン(PX)の値上げが続いているので要求には応じられないとしている。
 
 中国のPTAの需要は、ポリエステル繊維の輸出拡大策の展開と国内需要の順調な伸びが大きな支えとなって引き続き好調。三井化学では、今年の中国の総需要量は昨年を170万t上回って800万tに達すると想定している。かねてから需要の多くをカバーしているのは日本など海外からの輸入品だが、今年も輸入は引き続き活発で、総輸入数量は前年より20万t多い450万tになると三井化学では予想している。中国の国産数量も急拡大していて今年は昨年より120万t多い350万tとなる見込みだが、それでもなお輸入品が国産品を100万t上回るとの判断である。
 
 ただし、今年12月と来年1月の2ヶ月の輸入数量は、輸入関税が来年1月に引き下げられることが決まっているのと1月24日から1週間が旧正月休みとなるためこれまでの月をかなり下回る規模に縮小する公算が濃厚。
 今回三井化学が、PXの値上げが避けられなくなっているにも拘わらず12月の輸出価格を前月と同一水準に据え置くことにしたのは、こうした事情を背景に中国側が輸入を大幅に絞ると同時に値下げを強く求める構えを取っている点を考慮したためと見られる。
 一方のPXメーカーは、12月の価格をトン当たり40〜50ドル引き上げて670〜680ドルとする方針を打ち出している。三井化学など需要家はPTA事業の採算を大きく圧迫されることになりかねない。