2003年12月01日
住友化学、新表示材料の研究開発が順調に進展
PDP用蛍光体やLED用発光材料が仕上げの段階に
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:住友化学、NEDO

 住友化学工業はかねてから筑波研究所でPDP用高性能蛍光体と高分子LED用発光材料の研究開発に取り組んでいるが、いずれも順調に進展し仕上げの段階に入った。
 同社によると、PDP用蛍光体についてはすでにユーザーワ−ク中で、現在のユーザーの反応から推して来年春には実際の市場で同社の開発製品が採用されることになる公算が濃厚という。また高分子LED用発光材料の場合も、来年度中には同社特有の高分子発光材料の供給を開始できる見通しがつきつつあるとのこと。このペースでいくと、最先端表示材料分野においても同社は市場で重要なポジションを占めることになりそう。
 
 PDP用高性能蛍光体と高分子LED用発光材料の開発は、ともに同社筑波研究所がかねてから戦略的に取り組んでいる4種の研究開発テーマのうちの「起業ステージテーマ」を構成する重要課題のひとつ。

 このうちのPDP用蛍光体は、これからのPDPの大型化に不可欠と言える材料。当面の市場規模は05年度で年100億円(250t)、07年度で130億円と予想されている。住友化学では、長寿命青色の開発に特に多くのエネルギーを投入、その結果、最終技術を確立して現在はユーザー評価によって最終チェックを実施しているところ。ユーザー評価は極めて順調で、このため来年春には採用に踏み切るところが出てくると見られている。同社では、愛媛工場で先ずは月産2tのプラントを立ち上げることにしている。
 
 一方の高分子LED用発光材料も、次世代フラットパネルディスプレイの普及に欠かせない先端表示材料の一つ。住友化学では05年の市場規模を1,000億円と想定、10年には数兆円に拡大すると予想している。同社は、世界に先駆けて89年から基礎研究に乗り出して96年から00年にかけて先ずは黄緑材料の開発に成功、そして00年以降は青色材料の開発と緑色ならびに赤色への展開に力を入れているところ。青色については、すでに約1万時間の長寿命性を立証してなお更新中。03年度からは、NEDO(新エネルギー・技術総合開発機構)のフォーカス21プロジェクトチームの一員としての研究開発にも取り組んでいる。
 04年から携帯電話や小型ディスプレイ向けに企業化、10年までに大型壁掛けテレビ、フレキシブルシートディスプレイなどの分野にも進出していく考えである。4〜5年後の売上げ規模としては数百億円を予定しているという。