2003年12月01日
日化協がエンドクリン国際シンポのブリーフィングを実施
岩本・主査とACCのベッカー氏が論議のポイントを解説
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三井化学、環境省、日本化学工業協会

 日本化学工業協会は1日、関係マスメディア多数を招き、環境省主催の「第6回内分泌攪乱化学物質問題に関する国際シンポジウム」の事前ブリーフィングを実施した。
 
 最初に、岩本公宏・同協会エンドクリンWG主査(三井化学環境安全役員付部長)が、同シンポジウムにおける同氏の講演テーマ「内分泌かく乱化学物質問題に関する産業界の取組み」について概要を紹介、次いで米国化学工業協会(ACC)でエンドクリン問題を担当しているリック・ベッカー博士が、同シンポジウムで提起されるであろう主な論題について詳細に解説した。
 
 岩本主査は、日化協を中心とした化学業界全体が取り組んでいる化学物質の安全管理やレスポンシブル・ケア活動などの概要を説明すると同時に、環境行政に対して要望したい事柄や今後の化学業界の課題についても言及した。環境省に対しては「(1)これから実施される「SPEED'98」の改訂作業が問題解決のためのものなのか基礎研究のためのものなのかを明確にすること(2)試験方法および評価項目を明確にすること(3)評価対象物質の選定はあくまでも科学的かつ公平な判断基準で実施されるように持っていくこと--などを強く要望していきたい」と強調した。
 一方のベッカー氏は、「重要な疑問点として(1)野生生物やヒトの健康に悪影響を及ぼすホルモン活性物質への環境暴露が本当にあるのか(2)世界の科学者が、新しい試験方法を含む研究や野外調査とヒトの疫学研究、さらには関連する全てのデータ及び情報の総合的評価のための枠組み等についてどこまできちんと取り組んでいるのか--の2点が挙げられる」と指摘、そしてエンドクリン問題の現状については「最早、エストロゲンあるいは先例のない用量反応曲線に焦点は当てられていない」と明言し、さらに今後の展開についても「試験法が開発され、保証され、そして改善されていく」と明るい展望を示した。