2003年12月02日
中国のSM輸入1〜10月223万トン、前年比55%増
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成

 中国の10月のSM(スチレンモノマー)輸入量は23万1,833トンと、いぜん20万トン台の高水準が続いている。1〜10月累計は223万3,342トンで、前年同期の145万4,632トンに対して53.53%という大幅増加ぶりだ。

1〜10月累計を輸入国別に見ると、上位は
(1)日本      755,485トン(38.69%増)
(2)韓国      639,195トン(8.19%増)
(3)米国      294,203トン(905.38%増)
(4)サウジアラビア 144,541トン(49.62%増)
(5)インドネシア  142,073トン(60.93%増)
(6)シンガポール  114,634トン(92.79%増)
(7)台湾      56,113トン(98.34%増)
の順。

 中国にはSMに独自の用途をもち、PSやABSなどの合成樹脂や合成ゴムのほかに、発泡ポリスチレンに成形加工して土木分野に大量に使用している。これが需要を押し上げている最大の原因といわれる。経済成長の続くかぎり、SMの需要は今後とも続くといえそうだ。
 
 しかし供給能力には限界がある。これまで対中輸出に積極的だった米国は、原料天然ガス価格の上昇でSMの製造コストが上がり、オーシャンフレートの上昇もあって採算的に苦しくなってきたといわれる。9月に4万8,000トンだった米国からの中国向け輸出は、10月には3万1,000に減っっている。
 
 インドネシア、台湾、シンガポールなどのアジア各国はすでに手一杯の状態。頼みは日本と韓国になるだろうが、日本では旭化成の30万トン新プラントが来春本稼動に入るものの、17万トンの旧設備をスクラップする予定になっており、計画通りだとすると実質増加するのは13万トン分だけとなる。韓国ではLGの10万トン増設計画が伝えられているが、詳細は不明。中国側からみれば、日・韓の増設計画は今後多少は期待できるところかもしれない。
 
 しかし、業界の中には「日本、韓国とも今は国内のPS需要低迷が続いているから、何とか引き合いに応じられている」といっている。今後のアジアを中心とした輸出市場の動きは、市況動向も含めて目が離せないとする声が強い。