2003年12月08日 |
東ソー首脳が会見、コア事業の一層の強化を強調 |
「ビニル・イソシアネート・チェーン」の充実等に意欲 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:オルガノ、東ソー |
東ソーの田代圓会長(兼CEO)と土屋隆社長は5日夕記者会見し、東ソーグループならびに東ソー本体の当面の経営課題とそれを実現するための施策の概要を語った。 この中で両氏は、「東ソーにとってもグループ全体にとっても当面の基本課題はコア事業の一層の拡充にある」とし、「東ソーの“ビニル・チェーン”事業と日本ポリウレタン事業との一体的拡大、つまり“ビニル・イソシアネート・チェーン”体制の強化によってグループの国際競争力を強めていく。世界トップの販売シェアを持つスパッタリングターゲットやジルコニア、電解二酸化マンガン等をはじめとしたスペシャルティ製品事業をさらに拡大・発展させ、東ソー本体の企業基盤の一層の強化も図る」との点を強調。さらに「立ち止まることなく常に進化していく企業群を目指す」と体質強化への意欲を示した。 田代会長と土屋社長の発言内容の概要は次の通り。 【田代会長】 ▽平成16年3月期の予想連結業績は、これまでの最高となる見通しだ。5年前に比べて売上げが1,000億円、営業利益が300億円それぞれ増える。増加分のかなりの部分は、オルガノが連結対象となったことによるものと言ってよい。対売上げ営業利益率は6.2%となる見込みだが、これに満足せず、早期に7%台に引き上げたい。 ▽今後のグループ全体の発展にはコア事業の拡充が不可欠だ。かねてから取り組んでいる“ビニル・チェーン”と日本ポリウレタン工業のイソシアネート事業とを保土谷化学を含めた3社で一体的に拡大していく。つまり“ビニル・イソシアネート・チェ−ン”の強化にグループの総力をあげて取り組む。 ▽すでに、日本ポリウレタンが原料の一つのホルマリンの製法転換を実施したのに続き、東ソーが一酸化炭素の設備やアニリン装置の建設に着工するなどで原料・ユティリティをオンサイトで自給できる体制の構築に着手している。これにより、アジアで最も競争力のあるビニル・イソシアネート・チェーンが出来上がる。東ソー自身も、電解とVCMの設備を増強、さらには自家発の拡大も計画している。 ▽中国市場に占めるグループ全体のポジションをさらに強めたい。PVCやイソシアネート誘導品をできるだけ早い時期に現地生産できるようにもっていく考えだ。 ▽石油化学事業は、エチレンとプロピレンの国際市況が逆転するなど、主要留分の需給バランスと、それぞれの持つ価値が世界全体で大きく変わってきている点を十分に念頭に置いて強化策を考えて行く必要がある。当社グループは大量にエチレンを他社から購入しているだけに、四日市の自社のエチレンプラントをどう生かしていくかをよく考えていかねばならない。 ▽スペシャルティ事業は、グループ全体でグローバルオペレーションに一層力を入れていくことで拡大・発展を図っていきたい。エチレンアミン、計測・診断製品、石英ガラスなどがこれからも大きく伸びると期待している。 【土屋社長】 ▽目標とする企業イメージは「豊かな収益力を持つ企業」「環境に適応し常に進化する企業」「全社員が能力を出し切っている企業」の3点で、現在、それぞれの課題を達成するのに必要な様々な施策を実行に移していているところだ。 「豊かな収益力を持つ」ためには、対売上高経常利益率を少なくとも5%に引き上げる必要があり、早期実現したい。「進化する企業」となるには、新会社の設立やプラントの新増設、さらにはコスト削減策などが実際の業績向上にいかに貢献し得るかを明確に確認できる指標が必要だが、これを最近作成した。この指標を十分に活用しながら効率よく狙いを果たしていきたい。「社員の能力アップ」については、全社員の20%を占める幹部職を対象に業績をきちんと評価できる年俸制度をスタートさせたので、この成果が早期に出てくるもと期待している。 ▽企業力の強化に当たっては、有機合成、科学計測、機能材、電子材料の4部門で構成するスペシャルティー製品事業の拡充に特に力を入れていく。現在も当社の利益の柱はこれらの部門で構成されている。要因の一つは、これらの部門にかかわる経費が他部門に比べてかなり少なくて済んでいる点にある。これからも、世界のトップグループを占めているスパッタリングターゲットや電解二酸化マンガン、ジルコニアなどの製品をはじめ、得意とするスペシャルティー製品の事業の拡大に力を入れていきたい。必要な研究開発投資は惜しまない。 ▽石油化学部門は、ターシャリーブチルアルコールの新規企業化や、EVA、ラミネート分野の新市場の開拓などで体質の強化を図る。エチレンプラントのコストのもう一段の合理化も重要な課題だ。 ▽全体の財務体質改善にも積極的に取り組む。有利子負債は売上げの70%まで縮小できた。これを50%台にするのを当面の目標にしたい。 ▽大切なことは、“立ち止まることなく常に何らかの行動を起こしている企業”として発展していくことだと考える。広く世間全体からもそのように認識され評価されるように全社員で努力していきたい。 |