2002年05月22日
中外製薬、シンガポールに「ポストゲノム研究拠点」ジョイントベンチャー設立
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:中外製薬、三井物産

 中外製薬は21日、三井物産の100%子会社であるBiostar Research 社(本社:シンガポール、野村龍太社長)および実験動物中央研究所(神奈川県川崎市、野村達次所長)との間で、アジアにおけるポストゲノム研究拠点として、シンガポールにジョイントベンチャー「PharmaLogicals ResearchPte. Ltd./(以下、PharmaLogicals社))を設立することで合意したと発表した。
 
 同社は、1980 年代から血球の増殖・分化にかかわるタンパク性因子(サイトカイン)の研究を1 つの柱として、遺伝子工学的に大量生産し医薬にすることに注力してきた。その結果、腎性貧血治療剤『エポジン』や好中球減少症治療剤『ノイトロジン』(海外では『グラノサイト』)などの造血因子製剤の上市に成功、現在バイオ医薬では国内トップの地位にある。

 PharmaLogicals 社の設立は、中外製薬の創薬技術を集約し、既にシンガポールでゲノム解析と診断事業に取り組んでいる三井物産、バイオサイエンス研究への動物実験のノウハウを持つ実中研と共同で、新しいポストゲノム研究に取り組むことで、アジアにゲノム創薬研究の拠点を確保するのが狙い。

 三井物産は、シンガポールでアジア人のためのゲノム解析と診断事業に取り組んでおり、昨年、シンガポール国立癌センターと折半出資してゲノム研究会社AGENICA 社を設立、すでにいくつかの有用遺伝子を発見している。

さらに、現地子会社Biostar 社を設立、遺伝子工学、分子生物学研究分野で産官学のネットワークを確立しており、シンガポールと日本のバイオ事業を核に据えたアジアンジェノミックス構想を展開している。

一方、実中研は、1952 年の創立以来、医学研究、バイオサイエンス研究に取り組み、実験動物の開発と生産システムの確立や実験動物n関する国際的な「モニタリングセンター」の設立、遺伝子導入など先端技術を応用した「ヒト疾患モデル動物」の作出、さらにこれらを用いた新しいin vivo 評価システムの開発などの実績がある。


社名:PharmaLogicals Research Pte. Ltd.
所在地:シンガポール/グレンイーグルズ病院地内
資本金:株主資本S$1,600 万≒約11.2 億円(うち資本金S$100 万≒約7,000 万円、資本
剰余金S$1,500 万≒10.5 億円
*研究開発を目的としたコストカンパニーとして運営資金(3年MIN)を資本金と
して持つ
出資比率:中外製薬48%、BIOSTAR 社48%、実中研4%
事業内容:ヒト遺伝子情報、臨床情報、動物実験情報、薬物情報を統合し、新規診断薬お
よび新規医薬品開発のための情報の創造
設立:2002年5月
稼動:2002年9月
要員:設立当初は研究、管理を含めて10名前後を予定