2003年12月15日
エチレンのアジア相場が急上昇
東南アジアのスポットは580ドル
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井物産

 大手商社各社によると、アジア地域でエチレンのスポット相場が急上昇してきた。先週末におけるCFR価格は、東南アジア諸国向けが580ドル、極東地域向けが540ドルとなっている。東南アジア地域の場合は、プロピレンとの格差がわずか10ドルに縮小してきている。11月末に比べると東南アジア向けは110ドル、極東向けは90ドルそれぞれ高い。直近のボトム(11月中旬)に対比すると、いずれも130ドルのアップとなる。
 
 急騰の背景は必ずしも明確でないが、商社筋の多くは「韓国・湖南石油化学のHDPE装置の火災事故によって誘発されたHDPEの市況の高騰と、最近のナフサのスポット相場の急騰が要因」(三井物産基礎石化部など)と分析している。
 湖南石化の事故は、10月3日に3系列合計35万t能力のHDPE装置のうちの15万t能力の第3号機が火災を起こしたもの。このため第3号機と10万t能力の第2号機がただちに運休して第2号機は11月末まで停止、第3号機はいまだに稼動を再開できないままきている。これに伴い、アジア地域ではHDPEのスポット相場が急騰し、それに引きずられるようにL-LDPEはHP-LDPEの相場も大幅にアップしている。
 一方のナフサの国際スポット相場は、先月中旬以降に各地で急反発しており、12月に入ってからのアジア地域向けの平均はトン当たり310ドル前後で推移している。
 最近のエチレン相場の高騰は、こうした二つの要因が重なって生じてきた現象というのが大方の見方なわけで、商社の中には東南アジア地域向けは600ドルまで上がると見る向きも出てきている。