2003年12月24日
汎用4樹脂の出荷1〜11月累計、PPだけが順調
国内向けは4樹脂とも前年とほとんど同じ規模
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 汎用4樹脂(ポリオレフィン3樹脂とPS)の出荷の今年1月から11月までの累計は、PPとLDPEが前年同期の実績を上回ったものの、HDPEとPSは逆に前年割れとなった。
 
 PPは3.0%増で、汎用樹脂ではめずらしい順調な伸びとなっている。経産省製造産業局が昨年末にまとめた年間予想伸張率とほぼ同じレベルだ。しかしPSは、逆に7.3%もの大幅減となっている。同樹脂業界の当初の中期見通しの03年の予想は1.9%減であったが、それをもかなり下回っている。他方、LDPEは0.9%増、HDPEは0.7%減なのでともに前年の横並びと言える。いずれも、経産省製造産業局の当初の年間予想を若干上回るペースとなっている。
 
 4樹脂の中ではPPの3%増が特に目を引く。しかし、これは輸出が25.3%増となったことによる面が大きい。肝心の国内向けは0.8%増にすぎない。消費量が最も大きい射出成形用品種は1.5%増で着実な伸びを遂げているが、それに続く量産品種のフィルム用が0.4%増にとどまり、他の品種はほぼ軒並み前年を下回っている。
 PSの大幅減の最大の要因は、PPと逆に輸出が47.8%も縮小したことにある。PSメーカーの多くが価格の折り合いがつかないため中国向け輸出を見送ってきたことによるもの。国内向けは1.1%減で、年初の同樹脂各社の予想とほぼ一致している。FS用は0.2%増となっているが、他の品種は全てわずかながらも前年を割り込んでいる。メーンの包装用も0.2%減となっている。
 LDPEは、国内向けが1.8%増と着実な伸びを遂げたものの、輸出の5.2%減をカバーするに至らなかった。メーンのフィルム用は2.3%増、また加工紙用も2.6%増と健闘したが、他の品種が全てマイナスとなっている。
 HDPEは国内向けが0.9%減、輸出が前年の横並びとなっている。国内が若干前年を下回ったのは、主力のフィルム用が1.9%減となったため。安価なレジ袋の輸入が引き続き拡大したのが影響している。ただし、中空成形用は3.3%増と好調を維持している。自動車ガソリンタンクの普及が効いている。
 
 各樹脂の1〜11月の出荷数量は以下の通り。単位はトン。かっこ内は前年同期比。
 【LDPE】
 国内向け 1,454,329(101.8%)
 うちフィルム用 761,149(102.3%)
 輸出 197,749( 94.8%)
 合計 1,652,078(100.9%)
 【HDPE】
 国内向け 875,987( 99.1%)
 うちフィルム用 317,257( 98.9%)
 輸出 181,251(100.0%)
 合計 1,057,238( 99.3%)
 【PP】
 国内向け 2,310,848(100.8%)
 うち射出成形用1,341,071(101.5%)
 輸出 276,265(125.3%)
 合計 2,587,113(103.0%)
 【PS】
 国内向け 825,121( 98.9%)
 うち包装用 312,969( 99.8%)
 輸出 66,807( 52.2%)
 合計 891,928( 92.7%)