2003年12月25日
旭化成、ベテラン現場技術者の再雇用検討へ ”アナログ”を見直す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成

旭化成は工場、設備の安全対策をはかるうえで現場経験の長い、職人的なベテラン技術者が必要ではないかとの認識のもとで、OBを含む人材の再雇用について検討をはじめた。これは昨年3月中旬に発生した宮崎県延岡市のレオナ工場の火災事故で原因究明が遅れ、この結果、設備再建に時間と莫大な費用がかかったためで、最新鋭のデジタル技術を職人型のアナログ技術で補完するという新たな事故対策が浮上したともいえる。

同社のレオナ工場は焼失面積が1万5,000平方メートル、建物面積4万3,000平方メートルに及び(タイヤ用繊維製造設備の大半を失う)、約30億円の損害額となった。復旧には約120億円を投入した。


細心の注意を払って建設した新設備の操業再開に向けてはデジタル技術を徹底究明しても発見できない事故の欠陥が、アナログ技術を見直すことによってカバーできないかとの考え方が出てきたわけである。

鉄道や大型機械の欠陥をみつけ、安全を確保するという技術は、かってトンカチなどでたたく方法で行っていた。いわば”職人のワザ”ともいうべき技術だが、伝統技術の踏襲を続けることができるかどうかの課題もある。