2004年01月03日
「保安と環境、信頼に応える」日化協会長・中西宏幸
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学工業協会

平成16年 (2004年) 「年頭所感」

日本化学工業協会
会長 中西 宏幸

平成16年の新春を迎え、謹んで新年お慶びを申上げます。
さて、昨年を振り返ってみますと、「昨年はイラクに始まり、イラクで暮れた」という気が致します。本年も引続き先の見えないイラク情勢に社会、経済が大きく揺れ動く1年になるのではないかと思います。
昨年の前半は、SARSの影響による経済活動の停滞があり、年初は米国経済の減退、株価低迷など、多くの懸念材料を抱えてスタートした年でありました。年央から徐々に回復の兆しが見えては来ましたが、依然として不透明な経済、株価、為替、国際的テロ活動の影響等、今ひとつ世界経済が広く復調を遂げるには至りませんでした。
我国経済も、SARS終焉後、秋口から米国、アジア各国向けの輸出の伸びなどに支えられ、平成15年度のGDP成長率は、政府見通しで2.0%と見込まれ、徐々にではありますが、若干明るさが見えて来たように思われますが、全体としては引続き、大変厳しい局面が続いている、続くものと思います。
このような状況の中で、私共化学産業にとっての大きな課題は、
1.一つには、昨年多発しました大きな事故、高圧ガス自主保安に関する不祥事等—私共の会社自身も大変申し訳ないことを致し深く反省し、体制の建て直しに懸命に取り組んでいる所でありますが—或いは、化学品の安全性、環境への適切な対応など、化学産業に対する社会からの信頼を回復し、化学製品を安心して、お使い頂く為の努力を一層強力に進めなければならないということだと思います。
特に事故の再発防止に当たりましては、個々の事故にはそれなりの会社固有の背景、原因、或いは社会構造上の背景、要因があろうかと思いますが、最も重要なことは、安全の確保に向けた経営TOPの強い決意と行動にあるということを再認識したいと思います。

2.二つ目は、安全、環境といった問題に対する業界としての取り組みをよりしっかりとしたものにし、又、化学業界としての情報発信力を強めること。同時にますますグローバル化する諸課題について、国際的な取り組みの体制を整え、強化するために、化学業界団体の力の結集が不可欠だと考えます。

化学業界には、日化協をはじめ多数の団体があり、これらの力、機能を結集する第一歩として、昨年11月に、日化協、石化協含めた業界8団体が、ひとつのオフィスビル(中央区新川)に移転いたしました。そして、この新年を期に、安全、環境といった共通する機能を集約、強化する方策に移していく計画であります。
これらを実行するに当たりましては、行政からのご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
化学産業を取り巻く環境は、依然厳しいものがありますが、われわれの化学産業に携わる者一同、化学産業の未来に対する確たる信念を持ち、社会の持続可能な発展に貢献して参りたいと思います。
最後に、この1年が、皆様と化学業界にとりまして、実り多き年となりますよう心から祈念致します。
                            以   上