2001年11月20日
中外製薬、狭心症治療薬「ニコランジル」の効果、米国学会で公表
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:中外製薬

 中外製薬はこのほど、同社がが開発した狭心症治療薬「ニコランジル(製品名:シグマート錠)」が狭心症患者の心血管イベントを著明に減少させるという大規模臨床試験「IONA (アイオナ)試験」の結果が14 日、米国アナハイムで開催されたAHA (米国心臓学会)で公表されたと発表した。
 
IONA試験は、ニコランジルが、労作性安定狭心症の治療を受けている患者を、重篤で生命の危険がある心血管イベントから守ることができるかを確認するためにデザインされた。試験はグラスゴー大学(英国)が実施し、ハイリスクの狭心症患者5,126 名からデータを得た。

この結果、労作性安定狭心症患者の冠動脈疾患死、非致死性心筋梗塞、胸痛による予定外入院を複合した心血管イベントを17%減少させ、過去の臨床・前臨床試験結果によって示唆されていたニコランジルの心筋保護作用が確認された。また、ニコランジルは、心疾患患者の症状改善だけでなく救命療法として重要な役割を担う可能性があることも示唆しているという。
 
 ニコランジルは、1984年の日本上市、1994年の欧州上市以来、狭心症治療薬として幅広く使用され、安全性は処方医の間で信頼を得てきたが、今回の試験結果は「ニコランジルが今後も狭心症治療に貢献できる薬剤であるとの確信をさらに強めるものになった」と同社ではいっている。