2004年01月20日 |
今年のエチレンの需給、特にアジアでタイトに |
世界で上期に稼動する大型設備は北米とイランだけ |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:三井物産 |
三井物産など大手商社の調査によると、今年上期中に完成して稼動を開始するエチレンの大型プラントはシェル・ケミカルがディアパークに建設する年産70万t装置と、イラン・アミール・カビールがバンダルイマンに設置する同52万t設備だけであり、このため今年は世界全体のオレフィンの需給がこれまでにないタイトバランスで推移することになる公算が濃厚と見られている。特にアジアでは、深刻な品不足状態が続くと予想する向きが商社筋には多い。 シェルのプラントが完成するのは今年2月、またアミールカビールの新設備が竣工するのは6月と予想されている。他に、欧州でも若干の設備投資が実施されているが、いずれも小規模の増強にすぎず、合計しても年30万tていどと想定されている。サウジではJUP(ジュベール・ユナイテッドペトロケミカル)が年産100万t能力の大型エチレンプラントの建設工事を進めているが、完工は今年末となる見通しなので、年内の需給の緩和に寄与することにはならない。 一方、アジアにおける今年のエチレンの需要は引き続き好調に推移すると見られている。商社の多くは昨年同様、6%前後の成長を予想している。つまり、年間180万tていどの需要増になるとの見方である。それに対する新増設規模はイランの52万tにすぎない。したがって、米国や欧州からよほど大量に持ち込まれないかぎりオレフィンの品不足は解消されないまま行くことになる。 |