2004年01月20日 |
SMの上期の需給、特にアジアでは極度に逼迫の見通し |
極東と北米でSMメーカーの定修が相次ぐ |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:旭化成、電気化学工業、ライオン |
SM(スチレンモノマー)の今年上期における世界全体の需給バランスは、かつてない極度の逼迫状態に陥る公算が濃厚となってきた。特に、需要が旺盛な中国をはじめとしたアジア地域では、需要家の多くが深刻な品不足に悩まされることになりそうだ。 これは、需要が引き続き順調に拡大するのに加えて、極東と北米のSMメーカーの多くが上期中に定修を実施するため供給力が大幅に縮小する見通しにあるからだ。 わが国のSMメーカー筋の調べによると、すでに北米では今週明けからBPケミカル、ライオンデル、スターリング、コスマーの計4社が合計5系列のSMプラントを運休して定修に入っており、続いて2月から5月までの間にはダウケミカル、シェブロン、ライオンデル、コスマーの4社が合計4系列をシャットダウンする予定にある。運休期間は短いケースで2週間、長い場合で6週間、多くが3〜4週間となりそう。 北米におけるSMの総設備能力は年産678万7,000t。上期中に定修のため一時運休となる見通しのプラント数は5社合計・9系列で、その総設備規模は同437万7,800tに達すると見られている。実に全体の64.5%に相当する設備が集中的に運休する見通しにあるわけ。 アジア地域、特に中国はこのところ北米に対する依存度を急速に高めている。昨年に中国が海外から輸入したSMの数量は、前年を約50%上回っておよそ270万tに達したと見られている。そのうちの北米品は35万tで、前年に比べると12倍の規模に一気に拡大したことになる。今年も引き続き同国の需要は大幅な伸びを遂げると見られており、このため北米の定修の集中は同国にかなり大きな影響を及ぼすことになろう。 一方、日本でも同様に上期中に定修が集中する。合計9社のSMメーカーのうち、2月中旬から6月末までの間に、新日鉄化学、旭化成、出光石油化学、日本スチレンモノマー、電気化学工業の5社が合計5系列のSMプラントを運休して定修を実施する予定。運休期間は、4週間が2系列、6週間が2系列、8週間が1系列となる見込み。これら5系列の設備規模は合計で年産169万tに達する。9社合計の設備能力は同330万tだが、上期にはその51.2%の設備が運休となる見通しなわけ。 また、韓国でもYNCCが4月に、現代石油化学が5月にそれぞれ定修のため3週間運休する予定。運休の設備規模は両社合わせて全体の23.6%に相当する同62万tとなる。 最近のSMの国際市況は、原油とナフサ価格の急騰に伴い急角度で上昇している。直近のアジア相場はトン880ドルに達しているが、今後は供給力不足が表面化するにつれさらに上げ足が強まることになりそう。 |