2004年01月21日
三菱レイヨン、MMAと高級エステルの値上げを表明
原料高騰に対応、MMAモノマーは輸出価格も是正へ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは21日、MMA(メチルメタクリレート)モノマーとMAA(メタクリル酸)の国内販売価格を2月2日出荷分からキログラム当たり25円、またBMA(ブチルメタクリレート)ほか高級エステルの価格を同30円それぞれ引き上げると発表した。
 いずれも、主原料のナフサの価格が昨年第3・四半期以降に大幅に上昇していること、メタノールの価格も高止まりしていること、アセトンや諸燃料費さらには物流費なども高騰していること--などの要因によって各製品のコストが大幅にアップしていることに対処してのもの。ほぼ1年ぶりの価格修正となる。
 
 同社では、MMAモノマーについては中国や台湾向けなどの輸出価格も2月積みから引き上げる。トン当たり200ドル上げてCFR1,600ドル以上を新価格とする。原料の高騰に加えて円高が進行していることも理由の一つ。
 
 MMAモノマーの需要は、この2年余り、アジア地域全体でLCD用導光板向けが急速な伸びを遂げているほか、MS樹脂や透明ABS樹脂向け等も予想以上に順調に拡大を続けている。一方、供給能力は同地域全体でほとんど変化なくきており、このため需給バランスは月を追って逼迫の度合いが強まっている。最大手メーカーの三菱レイヨンも供給責任をまっとうするのに四苦八苦、海外からのスポットの引き合いの多く断る状況が続いているという。
 今後も、需要は自動車関連の塗料向けを含めてさらに拡大が必至の見通しにあり、このため市場には逼迫感が一段と強まっていくと予想されている。年内における新増設が国内では皆無であり、アジア地域全体でも同社のタイの工場(タイMMA)が11月に年産1万5,000tを増強するにとどまるためだ。したがって、第3ならびに第4・四半期は特に深刻な状況になると見られている。
 現在のメーカー在庫も2万t弱にすぎず、同社では、こうした中で採算を確保して供給責任を果たしていくためにはどうしても今回の値上げを各需要家に受け入れてもらうほかないと説明している。