2004年01月30日
フェノールとアセトンのアジア市況が急上昇
需給の逼迫でサプライヤーの原料高の転嫁が進展
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 フェノールとアセトンの市況がアジア地域全域で急上昇してきた。2月初旬渡しのCFR価格は、フェノールがトン当たり(以下同)800ドル前後、アセトンが約700ドルとなっている。

 1月中旬渡しの価格に比べると、フェノールは50~60ドル、アセトンは130ドルがらみのアップとなる。

 これらの製品の市況がここにきて急上昇してきたのは、中国、極東、東南アジアのいずれの地域でも需要が活発化している中で、世界各地のフェノールメーカとアセトンメーカーが原料ベンゼンとプロピレンの急騰に対応して相次いで値上げを打ち出したきたため。

 現在の国際的な需給バランスは、伊・ポリメリのポートレツ工場からのフェノールならびにアセトンの出荷停止(ケミカルタンカーの湾内の沈没)や米国のキュメンプラントの定修の集中などによって極めてタイトな状況にあり、しかも今後は日本などアジア地域のフェノールプラントが3月から5月にかけて相次いで定修を実施する予定にあるため一段と需給が逼迫する見通しにある。

 現在は、こうした背景から多くの需要家が先行きの玉の確保に不安感を強めており、これがサプライヤー側に有利に作用して市況を押し上げるかたちとなっているわけ。

 もっとも、三井化学などフェノール・アセトンメーカー各社は、原料価格が引続き上昇傾向をたどっているので採算を確保するため2月中旬以降の引渡し分についてさらに底上げを図りたいとしている。三井化学では、当面、フェノールを850ドルに、またアセトンを750ドルにそれぞれ引き上げたい考え。