2004年02月03日
VOCの排出抑制、事業者の自主的取組みを優先
中環審が意見を取りまとめて環境相に具申
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:環境省

 中央環境審議会大気環境部会は3日に第13回会合を開き、揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について意見を交わした。その結果、「VOCの排出抑制に当たっては、これまでの事業者による自主的取組みの結果を最大限に尊重し、自主的取組みを評価し促進することを第一として、法規制はシビルミニマムとなるように抑制的に適用することが適当」との見解をまとめた。これまで論議を重ねてきた「揮発性有機化合物排出抑制検討会」の意見を尊重したもの。これを受けて環境省環境管理局では同日、環境大臣にその詳細を具申した。
 
 この日まとめられた意見具申案は、「VOCは浮遊粒子状物質(SPM)や光化学オキシダントの生成に大きな影響を及ぼすと判断されるのでその排出抑制が緊急の課題」と前置きした上で、重要なポイントである排出抑制の制度について「法規制と自主的取組みの両方を組み合わせて、それぞれの持つ特性を活用したより効果的な手法を構築するのが適切」との見解を表明したもの。
 当初同検討会の委員の中には、法規制によって排出を抑制するのがベターと発言する向きが多かったが、その後論議を重ねるにつれ、これまで化学業界が自主的な取組みによって有害大気汚染物質の排出削減に大きな成果を上げてきたことに注目すべきとの意見が相次ぐようになり、そうした結果最終的には、「費用対効果が高く、また柔軟な方法で排出削減を行うことが可能な自主的取組みを優先し、法規制は対象施設を限定して適用するのが妥当」との“自主的取組み主導型”の手法に意見が集約されるにいたった。
 法規制の対象は、VOCの排出量が多く、大気環境への影響も大きい施設となる。具体的には(1)塗装施設及び塗装後の乾燥・焼付け施設(2)化学製品製造における乾燥施設(3)工業用洗浄施設及び洗浄後の乾燥施設(4)印刷施設及び印刷後の乾燥・焼付け施設(5)VOCの貯蔵施設(6)接着剤使用施設及び使用後の乾燥・焼付け施設--の各施設となる。
 同検討会では、こうした法規制と自主的取組みのベストミックスのパッケージによって、平成22年度までにわが国の固定発生源から排出されるVOC排出量を平成12年度に対して3割ていど削減することを目標にすべきだと指摘している。
 また、行政は事業者の自主的取組みを推進するため、JIS等の規格やグリーン調達に低VOC製品を位置づけたり環境ラベルを活用するなどの施策を実施すべきとも提言している。