2004年02月13日
今年のエチレンの新増設は中東の3基だけ
うち2基の完工はともに年末、需給は完全に逼迫
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三井物産

 大手商社ならびにエチレンセンター筋の調べによると、今年中に中東を含むアジア地域で新増設されるエチレンプラントは、サウジアラビアの1基とイランの2基の計3基だけであることが明らかとなった。うち2基は完工時期が年末となる公算が濃厚であり、また、もう1基も本稼動の開始時期は秋口になると見られている。したがって今年は、アジア地域におけるオレフィンの増産はほとんどカウントできないということになる。
 こうした点から、関係者の間には「アジア地域の石油化学製品の需給はこれまでになく逼迫し、品不足のため窮地に立たされることになる需要家が増える」(三井物産など)と見方が急速に広がっている。
  
 現在までに明らかになっている今年完成予定のエチレンプラントは、7月完工予定のイラン・AKPCの年産52万t装置(原料はエタン、プロパン、ラフィネート)、10月完成予定のサウジアラビア・JUPCの同100万tプラント(同エタン)、年末完工予定のイラン・BIPCの同10万t設備(同エタン)--の3基だけ。トータル同162万tにすぎない。昨年の同82万tほど極端ではないものの、最近ではめずらしい小規模にとどまる。
 一方の需要は、中国を中心に引き続き拡大するのが確実というのが一般的な見方。ある大手商社では、中東を除くアジア地域の今年のエチレン換算の総需要量は昨年を250万t上回ると予想している。伸び率は7.8%になるとの見方である。昨年の需給バランスは、中東からのエチレンならびに誘導品の流入でようやく均衡が保たれたが、今年は完全に供給力が不足すると見ているわけ。
 
 また大手商社やエチレンセンターの中には、来年も同様にアジア地域ではオレフィンならびに誘導品の品不足が続くと判断する向きが多い。来年完成する予定のエチレンプラントは、中国、タイ、インド、カタール、イランの計5カ国トータルで9基を数え、合計の増産能力は同320万tに達する見通しとなっている。しかし、商社や石化企業の中には、実際に多くのプラントが立ち上がるのが年央以降であり、しかも需要が中東を除くアジア地域だけでも270万t前後増える見通しにあるのでショートバランスが続くのは確実と見ている。