2004年02月18日
三菱化学、今春にもガスオイルを採用へ
水島でエチレン年産6万tの分解炉を利用して
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工、三菱化学

 三菱化学は、政府による関税暫定措置法と租税特別措置法の改正ならびに省令の追加が実施され次第、ガスオイルの採用に踏み切ることになった。
 
 同社水島事業所内に保有している合計19基のナフサ分解炉のうちのエチレン年産6万t能力の炉を使って、ガスオイルを石油化学原料の一つとして活用していく計画。同社の場合は専用タンクをかねてから保有しており、また配管もすでに整備できているので法整備が完了すればただちに採用を開始できる状態にあるという。
 
同事業所のエチレンプラントの生産能力は定修スキップ年ベースで年産49万6,000トン。したがって、同6万トン炉をガスオイル用にフルに利用した場合の同事業所のガスオイル依存率は12%ということになる。鹿島事業所の設備を合わせた場合の構成比は4.3%となる。
 
 これまでわが国の石油化学企業は長年にわたって原料のほとんどをナフサに依存してきた。02年のナフサ依存率は97%で、米国の12%はむろんのこと西欧の67%や日本を除くアジアの74%をも大きく上回っている。ナフサ以外の原料としてはLPGと重質NGLが時折使用されるが、それも02年の場合で全体の3%を占めるにとどまっており、ガスオイルについては税制が阻害要因となって使用例はゼロの状態が続いてきた。日本を除くアジア諸国のガスオイル構成比は7%、西欧は6%、米国は4%となっており、このためわが国の石化企業の多くが国際競争力の維持・強化の促進策の一つとして諸外国と同じガスオイルの免税化を政府に強く働きかけてきていた。その結果、16年度から免税措置が講じられることとなった。

 なお昭和電工は、すでに大分エチレン工場にNGLとともにガスオイルも利用可能な分解炉を設置済みで設備面での対応を完了している。このため今後は原料の選択肢がさらに広がるとして、ガスオイルの導入に期待している。ただ現行関税法では、ナフサとNGLに認められているタンク内の「同時蔵置」がガスオイルには認められていない。同社では「ナフサタンクの有効利用の点からも、早期に3原料の同時蔵置が可能となるよう法整備してほしい」といっている。同社が2003年に使用したオレフィン原料の構成比はナフサ約73%、NGL約25%、ブタン約3%となっている。