2004年02月23日
POの1月の出荷、PEフィルム品種が異例の伸張
PPは射出用品種が順調、フィルム用は横並び
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の1月の出荷数量は軒並み前年同月を上回ったが、この中ではLDPEとHDPEの両ポリエチレンの主力品種であるフィルム用品種がともに大幅な伸びを遂げている点が注目される。LDPEのフィルム用品種は8.7%増(7万1,500t)、HDPEのフィルム用グレードは5.8%増(2万8,500t)で、いずれもこの数年ではイラク戦争前の昨年2〜3月を別にすると異例と言える高い伸び率となっている。かねてから安価な海外品の流入が続いているショッピングバッグ向けのHDPE極薄・強化フィルムも6.6%増となっている。
 
 両ポリエチレンのうちのLDPEのフィルム品種は昨年の総出荷数量が82万9,700tで、前年比は2.6%増であった。一方のHDPEのフィルム用グレードは総出荷量が34万7,100tで、前年比は0.8%減であった。こうしたフィルム品種同士の増減の違いがそのままそれぞれの樹脂の昨年の国内向け出荷数量全体の増減の相違となって現れている。
 ただし、月別の前年比の推移をたどってみると両樹脂のフィルムグレードの間には差異がほとんどない。ともに2〜3月に大幅な伸びを遂げ、4月以降しばらくは一転して前年同月を下回り、そして9月と12月に再び増加に転じている。
 前々年も同じパターンをたどっている。年計はLDPEのフィルム用が80万8,800tで0.7%減、HDPEの同品種が34万9,800tで4.2%減とともにマイナス成長となったが、月別の前年同月比は7月と12月がともに他の月と様相を異にしている。LDPEはいずれの月も突発的な高度成長を遂げており、HDPEはプラスへの転換こそできなかったもののマイナス幅が大幅に縮小している。
 いずれの場合も両樹脂各社の値上げ表明の時期とタイミングが一致している。今回も背景はおおむね同じと分析する関係者が多い。
 
 ただし、同じポリオレフィンでもPPのフィルム用品種はかなり内容が異なる。1月の出荷量は4万700tで前年同月を0.2%上回るにとどまっている。うちOPPは2.0%のマイナス成長となっている。昨年春以降の不振から脱却できないままきている印象だ。その背景については、レジン各社とも、まだ明確に把握できておらず2月の実績がまとまるまでは明確に分析できないとしている。もっとも、最大消費品種の射出成形用グレードは4.6%増と過去1年の平均を大きく上回る伸びを遂げている。