2004年02月24日
旭化成ケミカルズ、ANの輸出価格をさらに引き上げへ
中国や台湾向けの3月分、トン1,050ドルを目指す
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズはこのほど、中国、台湾等のアクリル繊維メーカーやABS樹脂メーカーに対してAN(アクリロニトリル)の3月の輸出価格をCFRトン当たり1,050ドルに引き上げたい旨を説明し了承をもとめた。
 現在の価格は同960〜980ドルで1月上旬の平均に比べると80〜110ドルノアップとなっているが、ここにきて原料プロピレンやアンモニアの価格が一段と上昇、また円高も一層進行してきたことから採算確保のためさらに70〜90ドルの再値上げに踏み切ることにしたもの。
 
 ANの需要は、アクリル繊維やABS樹脂の需要の好調に支えられてアジア地域全体で引き続き拡大傾向をたどっている。一方の供給能力は、ここしばらく同地域での新増設が途絶えていることもあって需要量をかなり下回る規模にとどまっている。このためアジア地域の需要家の中には不足分を欧米品でカバーしようと試みるところもあるが、スターリングケミカルスのようにプロピレンの確保難から大型装置の運休に踏み切るところもあって、思うように必要量を手当てできないでいるユーザーが多い。
 しかも3月以降の数ヶ月は、各地でANメーカーの定修が相次ぐ見通しにあり、このため上期のアジア地域の需給バランスは一層逼迫する公算が濃厚となっている。それだけに今回の旭化成ケミカルズの再値上げも比較的早期に市場に受け入れられると見られている。