2004年02月26日
三井化学、フェノールの値上げで大手顧客から満額回答を得る
アセトンの交渉はキロ8円アップで早期決着
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、かねてからフェノールとアセトンの両製品の大手顧客との間で進めていた値上げ交渉が決着したと26日発表した。
 
 上げ幅はフェノールがキログラム当たり16円、アセトンが同8円。うちフェノールについては、同社の希望がそのまま各ユーザーに受け入れられた。いわゆる満額決着である。一方のアセトンの場合は同社が予定していた額を同2円下回るかたちでの決着となったが、これは燃料費のアップ分の全面転嫁にユーザー各社が強く反発して部分転嫁で妥協せざるを得なくなったためで、主眼のナフサの高騰に伴うプロピレンの価格アップ分の転嫁は100%認められた。
 実施時期はフェノールが2月1日出荷分から、アセトンが2月21日出荷分からとなる。
 今回は、1月14日の同社による値上げ表明後わずか40日強という異例の短期間での決着となった。これは需要家各社が、両製品の原料の世界的な急上昇ぶりから推して値上げの回避は不可能と判断、いたずらに交渉を長引かせるよりも先ずは原料の安定確保のめどを着けて製品価格への転嫁を急ぐべきとの決断を下したことによるもの。フェノール、アセトンとも需要の好調を背景に需給バランスが世界全体でかつてないほど逼迫していて、しかも3月以降は定修の集中で深刻な品不足状態に陥る公算が濃厚となっている点が強力な促進材料となったと言える。
 
 三井化学では、各種原料の高騰に対処して両製品の輸出価格についても果敢に改善に取り組んでいる。フェノールについては、昨年末にトン当たりCFR750ドルであったアジア地域向け価格を現在は850ドルまで引き上げている。続いて3月後半積み価格を同900ドルに再修正する考え。トータル150ドルの値上げとなる。アセトンの現在の価格は、昨年末より130ドル高い700ドルとなっているが、これをさらに50ドル引き上げることにしている。計180ドルの値上げとなる。
 
 両製品とも、特にアジア地域の需給が極度に逼迫しているおり、加えて台湾での新増設プラントの立ち上がりが原料の確保難もあってかなり遅れる可能性も出てきているので、再修正が早期に実現する公算は大きいと見られている。