2004年03月09日
ポリオレフィンの値上げ交渉もほぼ決着
三井化学は6〜14円のアップで大方の同意得る
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ、住友化学、東ソー、日本ポリエチレン、日本ポリプロ、三井化学

 PVC(塩ビ樹脂)に続いてポリオレフィンの価格交渉も、ここにきて樹脂メーカー各社の希望がほぼ満たされるかたちで各需要分野で決着し始めた。

 ポリオレフィンの大手総合メーカーである三井化学によると、先週末までにほとんどの需要家からポリプロピレン(PP)についてはキログラムあたり(以下同)6〜8円、ポリエチレン(PE)では10〜14円の値上げを認めるとの回答を得ているという。
 当初同社では、ナフサの1〜3月期の入手価格が1キロリットル当たり2万9,000円に高騰するとの予想に基づいて、PPでは8〜10円の、PEでは12〜16円の値上げの受け入れを需要家各社に求めることにしていた。しかし実際には、その後のナフサ価格の上昇幅が当初の予想を若干下回り、その結果通期では2万8,000円となる公算が濃厚となってきたため、それに合わせて両樹脂とも上げ幅を下方修正することにしたもの。
 
 これに対して市場では、ごく初期の段階でこそ反発する向きが少なくなかったが、時を経るにしたがい大方の需要家が受け入れを表明、そして最近は、早急な加工製品価格への転嫁を目指して製品値上げを打ち出すところが相次ぐようになってきている。PEインフレーション・フィルムメーカーや重袋メーカーの多くはキロ20円の、またOPPやCPPさらにはC6コモノマーL-LDPEのフィルムメーカーなどは30円以上の値上げに踏み切っており、PPシートメーカーも10円の値上げを発表して流通問屋やコンバータ等との折衝に乗り出している。
 
 同様の動きは、日本ポリプロ、住友化学、日本ポリエチレン、出光石油化学、東ソー、旭化成ケミカルズ--など他のポリオレフィンメーカーの取り引き先の間でも顕著になっている。並行して各樹脂の値上げ交渉も相次いで決着しつつある。
 このように短期間に多くのユーザーが値上げの受け入れを表明し、合わせて、自らの加工製品の価格修正にも踏み切るケースはこれまでのポリオレフィンの歴史の中ではほとんど見られなかったこと。
 これには、需要家のほとんどが、ポリオレフィン全品種の需給バランスが全世界的に急速にタイト化していてしかも樹脂メーカーの春の定修の集中もあって今後一層逼迫の度合いが強まる見通しにある点や、ナフサならびにオレフィンの国際市況が引き続き高水準のまま推移する公算が濃厚な点などを直視して、事業の継続には先ずは原料樹脂の安定確保を図るほかないとの決断を下したことが大きく作用していると見られる。
 現在の加工企業の経営トップの間には「ナフサ事情や樹脂の国際需給事情を考えれば、いたずらに樹脂の値上げに抵抗していても意味がない。それよりも急ぐべきは自社の製品への価格転嫁だ。これまでになく早くレジンの値上げを容認する考えを表明したのは、退路を自ら絶って早急に製品価格の修正を実現しないと経営が立ち行かなくなると判断したからにほかならない」と発言する向きが増えている。
 
 しかも、加工メーカーの中には、三井化学や日本ポリエチレン、日本ポリプロなどの説得に応じて早期にナフサスライド制の採用に踏み切る意向を表明するところも急速に増えてきている。PSについても同様の動きが市場で活発になっている。このままいくと、汎用樹脂と加工の双方の歴史に新たな1ページが加わることになる。