2004年03月10日
サウジで大型PEプラントが本稼動を開始
さらにもう1基も月内にスタートへ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三菱商事

 三菱商事など大手商社やポリエチレンメーカー筋が入手した情報によると、サウジアラビアの新規石油化学企業「JUPC(ジュベールユナイテッドペテロケミカル)」は先月下旬からL-LDPEとHDPEのスイングプラントの本格操業と営業活動を開始した。

 同社が稼動をスタートさせたプラントンの生産能力は年40万t。需要に合わせて任意に両品種を作り分けていくが、当面はL-LDPEにより多くのウエートをかけていくことになる模様。

 サウジではこれに続いて同じアル・ジュベール地区で姉妹会社のペトロケムヤが同じく年産40万t能力のポリエチレン・スイングプラントを完成、近く操業を開始する予定にある。この場合も重点はL-LDPEに置かれることになりそう。

 両者ともサウジアラビア基礎産業公社(SABIC)の全額出資会社である。したがって、これによって事実上SAVICのコントロール下でサウジで稼動するポリエチレンプラントは合計6基となる。総設備能力は、スイングプラントが244万5,000t、LDPE設備が21万5,000t、HDPE装置が100万tとなる。

 今回は2基の大型新プラントの相次ぐスタートによって、サウジにおけるL-LDPEとHDPEの供給力は一気に年80万t分増える。しかし両樹脂とも、中国の需要の急速な拡大もあって現在の国際需給バランスはきわめてタイトな状況にある。このため、サウジによる当面の増産分はたちまち中国を中心とした国際市場で吸収されてしまうと見る向きがわが国の商社やポリエチレン業界内部に多い。