2004年04月21日
スチレン工業会がアジアのSMの中期展望まとむ
中国の需要の拡大で需給タイトが継続と予想
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:日本スチレン工業会

 日本スチレン工業会はSM(スチレンモノマー)のアジア市場における中期展望を取りまとめ、その内容を20日明らかにした。
 それによると、アジア全体の需要については「PS、ABS、合成ゴム等の誘導品の需要の拡大によって中国(香港を含む、以下同)を中心に年率4〜5%の伸びを続ける」と予想、そして05年までの需給に関しては「中国をはじめとした需要の拡大によってタイトバランスが継続する」と結論している。また、06年以降については「中国や中東で大型のSM装置が稼動するものの、中国の需要の伸びが高いので中国によるSMの輸入は引き続き高水準を維持していく」との見解をまとめている。
 
 アジア全体の中期需給バランスについては、07年まで毎年100万tを大きく超える供給能力不足が続くと予想している。
 豪州を含むアジアの04年以降の需給の見通しは、04年が需要1,191万9,000tに対して供給能力が1,009万8,000tで差し引き182万1,000tのショート、05年が需要1,251万9,000tに対して供給能力が1,061万3,000tで190万6,000tのショート、06年が需要1,317万6,000tに対して供給能力が1,159万8,000tで157万8,000tの不足、07年が需要1,383万2,000tに対して供給能力が1,199万8,000tで183万4,000tのショート--となっている。
 
 うち中国の需要については、04年が459万1,000t(前年比110.2%)、05年が508万8,000t(同110.8%)、06年が570万1,000t(同112.0%)、07年が633万2,000t(同111.1%)--と予想している。そして、06年以降はSECCOの年産50万t装置やSHELLの同56万tプラントが稼動するが、高い内需の伸びが確実なので年300万tの輸入が必要になると判断している。
 一方の日本、韓国、台湾の極東3ヵ国の需給に関しては、各国とも誘導品メーカーの中国への生産拠点の移転に伴い内需が横ばいもしくは微減となるものの、中国向け輸出が増えるのでトータルではウエルバランスを維持していけると予想している。
 
の また、中東のバランスについては、06年以降の大幅増設によって08年には輸出余力が200万tに達して中国への輸出が拡大すると判断している。欧州の場合はほぼバランスが取れ、他方北米では依然として余剰状態が続くので06年まではアジアに6割前後が振り向けられるとの見方をまとめている。