2004年04月30日
上海の裏庭・昆山市が日本企業に専用地を提供
GDP中国のトップ、ハイテクで国際都市へ
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:伊藤忠商事、東洋ゴム、三井物産

 中国江蘇省の昆山市は、上海経済圏(上海の裏庭といわれる)にあって、上海まで55キロメートル、西の蘇州まで37キロメートルの地の利を生かし、産業の発展に力を入れ、科技工業圏区を日本企業専門に提供するなど、積極的な企業誘致にのりだした。
 
 昆山市は経済開発が急速に進む長江デルタにあり、総面積921平方キロメートル、人口102万人と中国では小ぶりながら、1人当たりGDPは6,300ドルとトップ(第2位は上海の5,628ドル)。市の人口は従来の固定人口が60万人、市街から流入したエンジニアなどの流動人口が42万人で、先進的な産業発展地区であることがうかがえる。
 
 同市は4月末に熊本、福岡、東京に訪日代表団を派遣したが、そのねらいは本年6月に完成する京阪(昆山)科学工業園区の第2期工事(1万2,000平方メートル、6月完成)にあわせて日本企業を誘致しようとするもので、工場建て屋をつくり大企業から中小企業までの進出を受け入れる計画。
 
 昨年完成した第1期工事(2万平方メートル)は建て屋が6棟あり、チノー(長野)をはじめ東京、大阪、和歌山、台湾(日本企業との合弁)など5社が操業を開始している。
 
 第3期では来年1月までに6万平方メートルの用地、建て屋を完成する。いずれも期間50年の賃貸契約で、1坪当たり月間約5,900円。日本企業専用の工業団地としたのは、昆山市に進出した外資が台湾系55%、欧米系25%、日系12%を占めており、ハイテク産業の育成や国際化に向けての戦略面を重視したためとしている。とくに電子・通信、精密機械、IT、電子ユニットなどの産業をのぞんでいる。「京阪」の名称は東京・大阪の意で、日本企業の進出を期待しているという。
 
 昆山市は10年ほど前から昆山経済技術開発区、昆山輸入加工区、昆山留学生創業園、江蘇国際商務センターなどを設置する一方で、国内外の企業誘致を行ってきた。科技工業園区に隣接する経済技術開発区には台湾、欧米など54か国からの企業が立地して、外資3,400社、国内3,000社を数える。日本からはサントリー、東洋ゴム、日本セラミック、豊田自動織機、日本精工、アキレス、シマノ、高島屋日発工業、伊藤忠商事、三井物産など500社を超える企業が進出している。
 
 交通は高速道路5本(うち2本は建設中)あり、とくにことし完成する蘇州環状線は経済技術開発区の中を通る。上海まで列車で25分、自動車で45分の距離にある。電力、水などのインフラは中国の他の地域に比べ安定している。

 問い合わせは国際貿易促進協会、TEL/03-3506-8275