2004年05月11日 |
三井化学、PHの輸出価格を再引き上げへ |
5月後半分からトン70ドル上げて1,020ドル |
【カテゴリー】:市況 【関連企業・団体】:三井化学、三菱化学 |
三井化学はフェノール(PH)のアジア諸国向け輸出価格を5月後半の船積み分からトン当たり70ドル引き上げる方針を固めた。現在のアジア地域向け輸出価格の平均はCFR同950ドルだが、これを同1,020ドルに引き上げる。中小口の取り引きが多い東南アジア地域向けは最も安いケースでも1,070ドルとする考え。 今回の輸出価格の引き上げは、原料ベンゼンとナフサの価格の再高騰に対応するためのもの。現在の輸出価格は、米国におけるベンゼンの3月のコントラクト価格(ガロン当たり200セント)と、1〜3月期の国産ナフサ価格(キロリットル当たり2万7,600円)に見合うものだが、米国のBZのCPが4月に同235セントに跳ね上がり、5月も228セントの高止まりとなることが確定、加えて4〜6月期の国産ナフサ価格が2万8,000円以上となる見通しにもなってきたことからこれらのコストアップ分を輸出価格に転嫁することにしたというわけ。 PHのアジア地域の需要は中国を中心に引き続き拡大一途の状態にある。一方、最近の供給能力は、米ジョージアガルフの操業トラブルや世界全域における定修の集中によって需要量を大幅に下回っており、このため特にアジア地域の需給は極度に逼迫している。 4〜6月期に定修を実施もしくは予定しているところは、韓国・錦湖(年産能力12万t)、米スノコ(同44万t)、スペイン・エルチサ(同37万t)、米イネオス(同43万t)、米GE(同31万t)、伊・ポリメリ(同47万5,000t)、千葉フェノール(同20万t)、三菱化学(同25万t)--など。さらに7月には、三井化学・シンガポール(同25万t)、三井化学・大阪(同20万t)、新日鉄化学(同12万t)などが続く見通し。一方、台湾・FCFCが4月15日に操業を開始した第2号機(同20万t)は現在にいたるもまだ低稼動から脱却できないでいる。本稼動の開始j期は7月からとなるのではないかと見られている。また、同じ台湾の長春石化の新プラント(同20万t)の建設工事はかなり遅れていて、5月に予定されていた完工は8月以降にずれ込むとの見方が広がっている。 |