2001年11月13日
スチレン工業会の松上会長が記者会見
需要見合いの生産が徹底できている点を強調
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東洋スチレン、環境省、日本スチレン工業会

 日本スチレン工業会の松上孝会長(東洋スチレン社長)は12日記者会見し、同工業会がまとめたPSの中期需要展望を紹介するとともに、需給の現状や当面のPS業界共通の課題などについての所感も披露した。この中で、PSの現在の需給の実態に関しては「需要が当初の予想を下回っているが、各社が需要見合いの生産に徹しているので在庫は史上で最も低いレベルになっている」と説明し、需給のバランスがきちんと維持できている点を強調した。同会長の発言要旨は以下の通り。
 
 1、PSの需要はあいにく年初の予想をかなり下回って推移している。しかし各社とも需要見合いの生産に徹しており、このため直近の月末在庫は12万3,000トンと史上最小の規模となっている。したがって、在庫圧力は全くない。あわてない、おそれない、騒がない、という空気が各社に広く定着している点が明るい材料といえる。
 2、現在の設備能力は年産122万7,000トンで、一時の155万9,000トンに比べると33万2,000トン少ない。これに伴い平均稼働率は85%と世界全体の平均を若干上回るレベルを維持できるようになっている。しかも、この数年、各社とも懸命な努力で固定をかなり削減したのでかつてのように無理に操業率を引き上げる必要がなくなってもきている。現在は適正生産が実現できていると先に申し上げたが、これにはいま述べた背景も少なからず寄与していると思う。
 3、しかし価格はいまだに低水準に張り付いており、この点は大きな悩みだ。現在のPSの平均価格はナフサ1キロリットル当たり1万7,000円見合いのところにあり、このため各社とも採算を確保できなくなっている。遠からず是正が必要となる。
 4、それに加えての当面の共通課題の一つは、製品の安全・衛生性の確保だ。さいわい、スチレンダイマー・トリマーが内分泌かく乱作用を持たないことは環境省をはじめ関係省庁で認められた、しかしこれで気を緩めることなく引き続き業界全体で万全な上にも万全を期していくことが大切だ。廃プラスチック対策も、さらに充実したものにしていきたい。
 5、また、国際問題に対する適切な対応も極めて重要な課題だ。中国からダンピングの疑いをかけられて混乱したが、最近はそうした事実がないことを中国側も理解し始めたと言えるので一息ついているところだ。しかし今後もそうした誤解を与えることがないように、より健全な姿の輸出に徹していかねばならない。