2001年11月13日 |
京大と三菱化学、「産業融合」プロジェクト合意 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:パイオニア、日立製作所、三菱化学 |
大学の研究成果を事業家に結びつけようと、「産学連携」促進の動きが高まっているが、京都大学国際融合創造センター(京大IIC、センター長、松重和美教授)と三菱化学は12日、新しいタイプの産業融合アライアンスを設立すると発表した。 京大IICを中核とする研究者群と、三菱化学を軸とする異業種企業4~5社で組織を構成、ナノテクノロジー、先進材料、次世代デバイス等をキーワードとする5~10のプロジェクトを立ち上げる。 年間予算は4~5億円程度、企業は1社当たり5,000万円~1億円を提供する。来年4月からスタートさせる。 参加企業は三菱化学のほかローム、日立製作所、パイオニアの各社。ほかにも複数のベンチャーと調整中という。異業種企業による“戦略的プロジェクト”として成果が注目される。 発表されたアライアンス構想(全文)は以下の通り。 戦略的産学融合アライアンス構想 平成13年11月12日 一京大IICを核とした次世代技術開発- 京都大学国際融合創造センター(以下、「京大IIC」という。センター長・教授、松重和美)と、三菱化学株式会社(以下、「MCC」という。本社;東京都千代田区、社長、正野寛治)との協議により、新しいタイプの産学融合アライアンスの設立に関し、以下の通り合意した。 記 1)目的 本構想は次世代の革新的技術の創成を目的とし、その実効を可能とする新しいタイプの産学融合システムを構築するものである。21世紀に入り、国立大学の形態・研究体制が変革され、企業においても戦略的R&Dの在り方が模索されている日本の現状において、これまでとは異なる新機軸の産学融合に基づく本研究開発アライアンスの推進により、多くのイノべ-ション、新産業の創出が期待される。 。 2)経緯と予定 今夏、MCCのCTO(最高技術責任者)・常務執行役員のGeorge Stephanopoulos氏から京大IICに素案が提案され、両者の担当者でこれまで数度にわたり協議を重ねてきた。その結果合意された内容をもとに、関係企業および研究者に参加を呼び掛け、既にローム株式会社、株式会社日立製作所、パイオニア株式会社などから積極的参加の意向を得ている。契約を含め、最終的内容につい ては、今後関係者で協議を行っていく予定である。 3)全体構造 複数の企業と京大IICを核とした研究者群との連携により、次世代の技術開発に取り組む。中長期的視点に立つR&D戦略のもと、まず5年間程度の研究開発期間とし、さらなる継続等については改めて協議を行う。研究テーマとしては、ナノテクノロジー、先進材料(有機系を主)、次世代デバイス等をキーワードとする5~10程度のプロジェクトを立ち上げる。(具体的プロジェクト内容は構成企業・大学間で協議・調整中) 3-1)構成 大学は京大IICを中核に、学内研究者をもって組織する。他大学(国内及び海外)・研究所等の関係研究者の参加も今後検討する。 参加企業は主たる業種が異なる4~5社程度とし、世話役はMCCが担当する。MCC以外の企業については現在ローム株式会社、株式会社日立製作所、パイオニア株式会社が積極的参加の意向を示している。その他ハイテクベンチャーを含む複数の企業と調整中である。 3-2)推進体制 研究拠点・事務局は京大IICに置き、組織名「先進材料・デバイス開発産学融合センター(仮称)」のもと、京大IIC内に寄附研究部門(教授、助教授(または助手)各1孝一程度)を設置する予定。企業は、共同プロジェクト推進部門・担当者・研究員を選出し、大学は求めに応じて共同研究員として受け入れ、研究施設・実験設備・装置の使用を含め、情報交換を密に行う。 3-3)期間・予算規模 実行期間は来年4月から5年程度とし、毎年度評価・見直し等を行う。 年間全体予算 4~6億円程度 企業:2~4億円 1社あたり 5千万-1億円程度 国:マッチングファンドの申請を予定 3-4)研究開発テーマ ナノテクノロジー、先進材料(有機系を主)、次世代デバイス等をキーワードとする複数の異分野研究者によるチームよりなる5~10程度のプロジェクトを立ち上げる。プロジェクトは、新しい発想を試行研究する「萌芽的、探索的研究プロジェクト」と既にある程度研究が進行している「推進的研究プロジェクト」の2つのカテゴリーからなる。 |